暮らしのある「まち」の注目ニュースをその街に暮らす3人の方々にお聞きします。
第3回は、三宮から地下鉄で約20分の名谷(みょうだに)へ。1950年代に造成されたエリアですが、近年、神戸市による「名谷活性化プラン」が始動。あらためて進化中のまちなんです。
松本隼人さんのレコメンド
ニュータウンのイメージを覆す!?多井畑へようこそ
昔も今も名谷っ子に愛される名物グルメ
駅前に、約500㎡の芝生が登場!
ニュータウンのイメージを覆す!?多井畑へようこそ

名谷駅から車で10分ほど進んだところには自然と歴史ある多井畑(たいのはた)エリアが広がります。なかでも約1,200年の歴史がある多井畑厄除八幡宮は日本で最古の厄除けの霊地と言われ、地元の人々から「多井畑の厄神さん」の愛称で親しまれている。
「地域の人にとってシンボルのような存在」と話す松本隼人さんによると、多井畑の厄神さんは子どもの頃から家族で訪れる場所であり、隣接している奥須磨公園と合わせて小学校の定番遠足スポット。
また、程よい整備がされた森のような公園は、休日だけでなく放課後も名谷っ子の探検ステージに。もちろん松本さんも、放課後ここを遊び場にしていた一人。「この自然環境をもっと知ってもらいたい」と、昨年には友人と一緒にそれぞれのペースで里山を走る「多井畑ゆるトレラン」を企画。多井畑の厄神さんを拠点に一周約3キロを巡るコースを考え、参加者に里山の魅力を体感してもらったのだそう。今後の企画は検討中。お見逃しなく!

多井畑厄除八幡宮

探検しがいのある奥須磨公園

奥須磨公園には遊具もあり、日中は子どもたちでいっぱい!
もっと知りたいニュースの奥
■毎年1月には、全国から多くの人が参拝に訪れる厄除け大祭が!
多井畑厄除八幡宮(https://www.tainohatayakuyokehachimangu.or.jp/)■好きなペースで、好きな周回だけ走って楽しむ!
多井畑ゆるトレラン当日の様子(https://funtest.life/achivement/achivement0020/)昔も今も名谷っ子に愛される名物グルメ

「名谷の住民なら100%知っているはず!」と松本さんが太鼓判を押すのが、大丸須磨店の1階で40年以上続く「Tommy’s(トミーズ)」のフライドポテト、通称トミポテ! 松本さんも、学生時代は学校帰りによく友達と食べていたのだとか。なんといっても、約300gという量の多さ(某チェーン店のポテトLサイズの3倍ではという噂も!)と、300円という安さが大人気。土日は常にお客さんが並び、店主の坂本健さんによれば多い日は600食ものフライドポテトが出るそう。「3世代に渡って買いに来てくれる方もいて、たくさんの方に食べ続けてもらえるのが嬉しい」とのこと。そう、誰もが認める名谷のソウルフードなんです。
「最近は姪っ子が名谷に遊びに来た時に、買っています。僕たちにとってずっと親しみのある食べ物ですね」と松本さん。長田など近隣エリアでも「フライドポテト」といえば、多くの人が名谷の「トミーズ」が頭に浮かぶほどの人気ぶり。熱々大盛りのポテトを頬張れば、時に切なく時に安心するような記憶にトリップできるのかも!? 名谷っ子の“心の味”を、このまちに訪れた証として一度は味わって欲しい!

大人も子どもも大満足のたっぷりトミポテ!

夏はソフトクリーム、冬は裏メニュー(タコスープ)なるものも。恐るべしトミーズ
駅前に、約500㎡の芝生が登場!

2022年4月に須磨パティオの広場「買物広場」が、「リノベーション・神戸」というプロジェクトの一環として人工芝を一面に敷いてリニューアル。名谷駅へ向かう時にここを通る松本さんは、通る度に「思わずニヤニヤしてしまう(笑)」のだそう。というのも地面が芝生に変わっただけで、人が滞留するようになり、老若男女ここでくつろぐたくさんの名谷っ子を目にするようになったから。
「今まで名谷には自然と人が集まる場所ってなかったんですよね。それが芝生になるだけでがらっと変わって。この時間にはこういう人たちが集まるのか、それならこんなイベントができるかも?と想像が膨らみます」と、いきいきと語ってくれた。
名谷をもっと盛り上げたいと活動する松本さんにとって、「買物広場」は、まちの起点になる場所として、今一番可能性を感じている場所なんです。

平日の「買物広場」の様子。夕方にはいろいろな学校の学生が溜まり、おしゃべりを楽しんだりTik Tokを撮影したりしているそう
もっと知りたいニュースの奥
■芝生だけじゃない工夫がいっぱい!「買物広場」リニューアルのあれこれ!
神戸市 地下鉄名谷駅 ショッピングセンター須磨パティオの買物広場リニューアルオープン(https://www.city.kobe.lg.jp/a80577/723727831278.html)今回のまちの案内人

松本隼人さん
名谷生まれ、名谷育ち。一度は神戸を離れ再び名谷に帰ってきたことで、自然が溢れるこのまちの魅力を再発見。自他共に誇る神戸好き。名谷を盛り上げたいと、現在友人たちとNeighbor’s TentSauna実行委員会を立ち上げ、「テントサウナ×ローカル」をコンセプトに活動している。ただイベントをするのではなく、いかに地元の人を巻き込めるか?を胸に、人と人の交流や文化を生み出そうと奮闘中。
今回の注目のまち

兵庫県神戸市須磨区名谷
1950年代に神戸市の西部に造成された須磨ニュータウン。その中央に位置するのが、ここ名谷エリアです。三宮から地下鉄で約20分という交通の便が良い場所に位置し、さらには生活動線がコンパクトに設計された街並みが特徴的。駅の近くに住宅や団地、公園、行政、そして商業施設が集約されています。団地などの集合住宅を通り過ぎた先には戸建てが並び、歩行者専用道路「赤道」が続いているのも、名谷ならではの風景で、暮らしやすいニュータウンとして栄えてきました。
2019年には神戸市によるプロジェクト「リノベーション・神戸」の対象地域に選定。「名谷活性化プラン」が始動し、既存施設のリニューアルや新規施設の誘致などが予定されているそう。すでに須磨パティオの「買物広場」のリニューアルが完了したり、全国でも珍しい試みとして、大丸百貨店内に名谷図書館がオープンしたりと、今まさにまちが着々と進化しています。良きスポットを残しながら生まれ変わりつつある名谷、その発展に期待が膨らみます。
MAP
取材・文/小島知世 写真/佐伯慎亮
2023.7.26