大阪芸術大学×URアートプロジェクト
「うみかぜ団地」2022レポート
2023.02.13
2022年度の「大阪芸術大学×URアートプロジェクト」は、前年度に引き続き、泉南尾崎団地を舞台に実施されました。今年度は新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されているタイミングでもあったことから、様々なかたちで団地住民の方とふれあう企画が行われました。
2021年度の「大阪芸術大学×URアートプロジェクト」の様子はこちらから。
https://karigurashi.net/article/artproject2021_02/


プロジェクトが本格スタートしたのは2022年7月。前年度に引き続き「うみかぜ通信」をポスティングし、活動を周知、8月と10月に行うイベントへの機運を盛り上げます。(「うみかぜ通信」はイベント後も含め通算4号を配布し、アートプロジェクトの熱を伝えました。)

<3つの企画が同時進行>
今回のアートプロジェクトの特徴は、ファッション、写真、焚き火という3つの企画が同時進行したことです。それぞれが異なるアプローチで、泉南尾崎の魅力を再発見と人と人とのコミュニケーションを生み出すことにチャレンジしています。
8月28日(日)にプレイベントを実施、10月1日(日)に本イベントが行われました。3つの企画がどのようなものだったか、2つのイベントレポートを通してご紹介します。
<コーディネート&撮影会「ウチらのファッションショー」>

学生が持ち寄った衣服を、住民の方々にコーディネート。スタイルが定まったらそのまま外へ出て、撮影会へと向かいます。DIY的な感性で作り出す”ウチらのファッションショー”です。
ファッションを通して「こんなの着たことないなぁ」「懐かしいなぁ~昔もこんなのが流行ったよ」「ドラマの主人公みたいやね」など、コーディネートをきっかけに学生と住民の間で、新たな会話が生まれていきます。







撮影会は、泉南尾崎団地の各所にて。改めて「ロケ地」として立つことで、普段見慣れた風景の魅力も再発見します。



このコーディネート&撮影会は、7月のプロジェクト開始時点からテスト撮影とポスター制作など、時間をかけて住民の方とのコミュニケーションを行ってきました。イベントの際は、顔見知りになった住民の方が様子を見に来てくださるなど、新たな関係性が築かれているのを見ることができました。
写真は後日冊子としてまとめられ、住民の方に記録として手渡されました。

<尾崎を巡ルンです>

この企画は、団地および地域住民の方にレンズ付きフィルム「写ルンです」を渡して、自由に尾崎の街を撮影していただく、というもの。8月28日のプレイベント時に「みんなで喋るんです」と題して、説明会と座談会を実施。尾崎のフォトスポットを共有したり、カメラの配布と使い方を説明しました。




出来上がった写真は10月1日の本イベントに合わせ、泉南尾崎団地の一室で展示されました。様々な時間や場所で撮影された写真は、まさに地元住民ならではのもの。フィルム写真の温かな質感とともに、「普段着のまま」で見つめた尾崎の魅力が詰まった展示になっていました。






今回は室内での展示となりましたが、団地住民の方にとっては自宅以外の部屋に入ることが少ないため、展示だけではなく、興味深く室内を見学していました。また、学生たちにとっては団地の生活空間を間近で体験できる機会にもなったようです。
<焚き火音楽祭>

海辺の団地というロケーションを生かし、そのポテンシャルを探るための焚き火企画です。中央の広場に焚き火をセットし、心地よく共に時間を過ごせる場を目指しました。プレイベントで「テスト焚き火会」を行い、参加する人も参加しない人も安心できる焚火の作り方を模索。その日のフィードバックをもとに「焚き火音楽祭」が行われました。






日没とともに焚き火がスタート。天候にも恵まれたこともあり、ポツリポツリと焚き火を囲む人が増えていきました。そして、アコースティックギターとボーカルのユニット「futarinote」による生演奏へ。ボーカルの堀さんの伸びやかな歌声に惹かれて、通りかかった人たちも、近くのベンチで耳を傾けるとときに。ゆるやかに、穏やかに、炎をみつめながら団地の夕暮れをともに過ごすひとときとなりました。






焚き火企画を終えて、2022年度のアートプロジェクトのイベントは全て終了しました。プレイベント、本イベントを含めたイベント全体の様子が記録映像にまとめられています。ぜひこちらもご覧ください。
2023年度も大阪芸大×URアートプロジェクトは実施予定。どのような試みが行われるか、今からとても楽しみです。今年度のアートプロジェクトが見つめてきたものや、学生の声はこちらの記事にまとめています。あわせてご覧ください。
取材・文:うちまちだんち編集部 プレイベント写真:川嶋克 本イベント写真:渡邉敬介