安田卓宏さんに教わる、
千里の公園とまちのみどりのこと
佐竹公園〜千里南公園ツアー編

[千里ニュータウン]

安田卓宏さんに教わる、
千里の公園とまちのみどりのこと
\佐竹公園〜千里南公園ツアー編/

吹田市花とみどりの情報センター「はなみど」で、センター長を務める安田卓宏さん。公園管理運営士や樹木医でもあり、吹田市が緑豊かな住み続けたい街であり続けるためのさまざまな取り組みを行なっています。
今回は「はなみど」がある阪急南千里駅から歩いて行ける2つの公園を安田さんとめぐりました。たっぷりの写真で気持ちのいい公園と緑の様子をお伝えするとともに、専門的な視点からお話いただいた千里ニュータウンの公園、まちのみどりについての インタビュー記事 もあわせてお読みください。


佐竹公園でのフォトツアーから!

阪急南千里駅から徒歩10分、千里ニュータウンで最初に入居がはじまった佐竹台にある佐竹公園。遊具や広場はないけれど、L字の菩提池の周りが散歩コースに整備されているので、ウォーキングやバードウォッチングにもってこい。
8月初旬、菩提池には直径20センチほどの立派な蓮の花が。池にかけられた橋から間近で観察できる。
吹田市はほとんどの公園内の樹木にボランティアさんお手製の樹木板がかけられている。
「キノコの仲間でいわゆるサルノコシカケが樹木から出ていると中が腐っているサイン」と安田さん。千里ニュータウンのまちびらきから60年。公園の樹木も樹齢60年以上になり、樹種によっては更新のタイミングがせまっている。
ピンクの花がかわいいゼフィランサス。ボランティア活動の名残りか、住民さんがこっそり植えられたものなのか。団地の公園は家との境目があいまいなところがチラホラ。
小学校の校庭や公園でおなじみのタイサンボク。佐竹公園のタイサンボクは関西の街なかではめずらしいくらい大きく成長していると安田さん。常緑の照り葉の樹木には、初夏に白い大きな花が咲く。
周りの樹木の雰囲気とは異なるトウジュロ。鳥が種を運んで成長することも多いという樹木だが、この木は果たして…。
台風で倒木した切り株を植木鉢にしたゲリラ園芸。まるでヒマワリを生けているかのよう。
誰かが植えたヒマワリに、誰かがメッセージを残しているのにほっこり。「楽しい花壇有難うございます。向日葵の咲くのを楽しみにしています」。
2018年の台風21号で倒木し、根の一部が地中に埋まったままで撤去できなかった切り株。丘陵地は土壌の関係で樹木の根幹が浅いため、大木でも強風で倒れやすいそう。
大きな池のある公園が多い千里ニュータウン。土地開発をして雨水が流れ出す時間を遅くするため、一時的に雨水を溜められる場所として調整池が作られたのが理由。もともとあった農業用の池もうまく利用しながら公園の場所が計画されたそう。池の周りは掘り込まれているため、池の水がオーバーフローしないつくりになっている。
雨つぶ型の大きな葉っぱが印象的なアメリカキササゲ。「はなみど」が取り組んでいる樹木ガイドツアーでも公園に植えられるめずらしい樹木として紹介しているそう。ノウゼンカズラ科の樹木ながら、なぜか枝先にマメ科のようなサヤがつく。
彫刻家・竹内正治の「母と子」。最近の公園では見かけることが少ない石像も千里ニュータウンの公園には多く設置され残っている。昔は文化的な側面も公園にはあったのがうかがえる。
市民が管理している園内の花壇。吹田市が行う「緑あふれる未来サポーター事業」は、公園で園芸をやりたい! という市民の気持ちの受け皿に。
新しい公園でほとんど見かけなくなった庭園風の池、人工川も現役。
菩提池の水辺に生える樹木の茂みに、カワセミがやってくると教えてくれた安田さん。安田さんも散歩をしていたらバードウォッチャーのおじさんに教わったのだそう。
その矢先、カワセミに遭遇。今まで1回しか見たことがないと言っていた安田さんもびっくり! バードウォッチャーの憧れの的。
「公園は座れる場所があってなんぼ。もっとベンチを設置してもいい」と安田さん。
直線が気持ちいいメタセコイア並木ゾーン。他の樹木に比べると葉色が浅いのでその一帯は明るい印象。公園を1周してみると、場所によって植えられている樹木が異なり、葉色や樹高もさまざま。抜けのいい場所、樹木が生い茂っている場所などが意図的に作られているのが伝わってくる。
トピアリー(植え込み表現)による文字で漢字は珍しい気が。ポテっとしたフォントがかわいい。いろいろ観察しながら歩けば、佐竹公園だけでもあっという間に1時間が経ちました。

つづいて千里南公園へ向かいます!

千里南公園へ移動する道中のフウの並木。フウは剪定がしやすく街路樹によく使われる樹木の一種。電線のあるなしは、街路樹の高さや枝の張りかたに大きく影響しているそう。
老朽化により取り壊しが決まっている佐竹台の通称「スターハウス」。上から見るとY字型で、突き出た各部分を一戸が占めており、全ての住戸が角部屋という贅沢なつくりになっている。
「すいた里親道路」は、吹田市が公園の花壇で市民と取り組んでいる「緑あふれる未来サポーター事業」の道路版。
寄生しているような右側の樹木は、鳥が種を運んで勝手に生えたと思われるエノキ。
2021年12月に誕生した「UR千里グリーンヒルズ高野台」。側面には、のびやかな竹をイメージしたデザインが描かれている。
千里ニュータウンの阪急南千里駅から北千里までを結ぶ「千里けやき通り」。名前の通り街路樹にケヤキが植えられているが、中には元気がない子も。「土が固いせいかな」と安田さん。最近は温暖化の影響で冬に死んでいた害虫が生き延びられるようになり、街路樹の害虫被害が増えているそう。

やって来ました千里南公園!

千里南公園に到着すると立派なユーカリがお出迎え。燃えやすく倒れやすいユーカリは今はあまり植えられることはなく、ここまでの大木は希少。台風で倒されたり伐採したユーカリをボランティアグループがスツールに活用するという計画に「はなみど」も関わっている。
千里南公園の牛ケ首池は釣り堀があるのも魅力的。
もともとあった雑木林と地形をそのまま活かして公園に。アベマキ、クヌギ、コナラなどはどんぐりから大きくなったものも。
メタセコイアをはじめ、スギやヒノキなどの針葉樹の森にあまり草が生えていないのは、林床が暗くなって光が届きにくくなるから。
草木が生い茂るジャングルエリアは恰好の子どもたちの遊び場。
満開のサルスベリ。最近は開花が早くなっていると感じられる。
樹形がメタセコイアにそっくりなラクウショウ(ヌマスギ)、その気根と呼ばれる木の根。ヌマスギは地下水位の高いところを好み、根が水に浸かった状態でも自生しているため、気根は呼吸をするためのシュノーケルのような役割を担っている。
牛ヶ首池をくねくね囲む遊歩道は1周916メートル。先が見通せない迷路感と、適度なアップダウンは散歩にむいている。曲がった先の景色を想像するのも千里南公園の醍醐味。

※千里南公園内で人気のカフェ「バードツリー」については
こちらの記事で紹介しています→https://karigurashi.net/article/bird-tree/

取材・文/西川有紀 撮影/坂下丈太郎 編集/竹内厚

インタビュー編

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