「泉北パークヒルズ竹城台」の設計者・遠藤剛生さんの、
これからのニュータウンにおける団地再生へのアプローチ

泉北ニュータウン特集

「泉北パークヒルズ竹城台」の設計者・遠藤剛生さんの、
これからのニュータウンにおける団地再生へのアプローチ。

泉北ニュータウンのUR団地では、2023年春にニュータウン初の建替団地「泉北パークヒルズ竹城台」第I期先工区が完成します。
この団地の設計を手がけたのは、集合住宅設計の第一人者であり、UR団地でも多数の実績を誇る建築家の遠藤剛生さん。 まちびらきから60年近くの時と共に、人々のライフスタイルや価値観は大きく変化しています。
これからも多様な世代が快適に住み続けることのできる、団地のあるべき姿とは。

その答えは、まち、団地から住棟、住戸まで、それらすべての要素を視野に入れ計画する、遠藤さんの仕事ぶりが見えてきました。
遠藤さんの解説とともに、泉北ニュータウンから泉北パークヒルズ竹城台の外観や配置、住戸、そして集会所をはじめとする共用施設、住戸をめぐりましょう!


[泉北ニュータウンのまちの話]
泉北ニュータウンは、やさしさと柔らかさがあるまち。

泉北ニュータウンは、多島海的な特徴があり、3つの島(泉ケ丘地区、栂地区、光明池地区)で全体が構成されています。その島と島の間に旧集落が点在し、泉北ニュータウンと旧集落が渾然一体となってまちが構成されています。千里ニュータウンと比較するとよくわかるんですが、千里ニュータウンは外輪山的なグリーンベルトによって分けられています。

私は、泉北ニュータウンをヤツデの葉っぱみたいな形と勝手に言ってるんですが。それが泉北ニュータウンの良さであり、まちのやさしさと柔らかさにつながっていると思っています。

整然としたまちは、同じような住棟が規則正しく並んでいて、フォーマルな感じを受けますが、場所の個性が消されて番号をつけないとわからなくなってしまいます。有機的なまちは多様なものが集まっていて、一つひとつの空間に個性が生まれ、そこで暮らす人々は風景を記憶しやすく、人間性の塊が都市をつくっているので、前者は歴史や文化が視界の中にはなく、自分たちのつくりたいものをつくっています。後者は自然とともに生きてきた農村集落が隣りにあり、その2つのまちが重なって根本的な違いが生まれています。だから、後者の泉北ニュータウンには、やさしさと柔らかさが生まれています。

泉北ニュータウンのまちのやさしさを、ヤツデの葉っぱの形を描いて説明してくださる遠藤さん。
[建替団地の配置計画の話]
泉ケ丘駅から池が見えるように骨格をつくる。

建替計画のスタート段階で、泉ケ丘駅から見える池の風景を大切にしようという思いをみんなで共有していました。

具体的にいうと、泉北パークヒルズ竹城台から見える丑池(うしいけ)をどう活かすかということ。泉ケ丘駅の西側の広場から見たときに、泉ケ丘駅と丑池の風景がうまくつながるように、計画をするべきという話になって。
この春に完成するところを先工区、これから着手するところを後工区と言ってるんですけど、先工区と後工区の間に、駅から池まで風景がつながる幅30メートルくらいのリニアな広場をつくる予定です。

まちと池をつないでいく、これが計画の一つの肝になります。

泉ケ丘駅から見た「泉北パークヒルズ竹城台」。左側にある現場事務所とその奥に見えるポイント住棟の位置に後工区が完成すると、駅から団地の間を抜けて見通せる丑池が泉北ニュータウンの新しい風景に。
池に開かれた住棟の配置は、秩序立てて美しく。

2つ目に考えたのが、団地と池の関係です。

池に向かって開かれた団地が生まれるように、住棟を配置しました。旧団地は、日当たりのいいボックス型の住棟が整然と並んでいましたが、今回の計画では泉ケ丘駅に隣接する場所特性を活かし、土地の有効利用も考えて、高容積な板状の住棟を採用。

住棟の配置計画では、池を活かすことと敷地の形状などから、丑池の北西に私が勝手に決めたポイントを起点に、そこから放射線を引き、その線上に住棟を配置しています。美しい空間は常に秩序があります。無秩序につくられたカオス的空間は美しいとは言いがたい。
計画とは、要素と要素の関係性を計る作業だと思っています。

団地の庭と丑池の周りを囲むメタセコイアは、泉北ニュータウンができた当初に植えられたもの。落葉樹なので新緑や紅葉など、四季の変化も楽しめる。

「泉北パークヒルズ竹城台」の設計者・遠藤剛生さんの、
これからのニュータウンにおける団地再生へのアプローチ。

2 へ続きます


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