キタの北ナガヤの
1週間リレー日記

写真/岡本佳樹

[梅田シリーズ]

キタの北ナガヤの
1週間リレー日記

中津駅からすぐ、梅田の繁華街からも歩いていける場所に残された路地に、キタの北ナガヤがあります。8軒の木造長屋を再生して、日替わり店主によるシェアキッチンやギャラリー、宿泊施設までが備えられています。

この北ナガヤからどんな景色が見えているのか。家から北ナガヤへ通う時間をどう過ごしているのか。シェアキッチン「キタナガKITCHEN」で店を出す日替わり店主のみなさん、セレクトショップ「GUILD」の方にリレー日記を書いていただきました。梅田の一角にこんな場所があるんです。


10月25日 月曜日
文/あんこやぺ 竹内由里子

朝の5時、起きたらまだ薄暗くて肌寒い。
この前まで明るくて気持ち良い目覚めだったのにすっかり季節が変わってしまったよう。山奥に暮らしていると「あー(冬が)やってきてしまうー」と恐怖感すらある。
いつものように岡山県美作市から中津に向かって車を走らせる。山の景色から少しずつ街の景色へ。2時間くらいの間に気持ちも切り替わるこの時間が心地よかったりするけれど、今日は雨なのでひと味違う。大阪に入ると渋滞。。。
「あーあ」としか思わせてくれない渋滞からようやく抜けて中津へ。朝来てくださるお客様をできるだけ待たせないよう、せっせと準備。
朝イチのお客様を見送ると、雨ということもあり、夕方までゆっくりと営業。閉店予定時間ちょうどに売り切れてホッとする。「まだあったんですねー!」とすごく嬉しそうな表情を見せてもらえただけで、私の方がラッキーだと思う。いつものお客様の顔を見てホッとする。「次はいつ来るの?」と聞かれて、来ていいんだなーと安心する。時間をかけてでも私が来たいと思える場所にすっかりなっていることを実感した。

帰りはもう暗くなってしまっていたけど、今日の嬉しかったことを話そうと考えながら山に向かって車を走らせる。
大阪で聞く大阪弁は「これこれー!」ってなる元気の源だし、中津は都会とはちょっと違って、ぐぐっと体を伸ばせる場所だなぁと布団に入りながらぼんやり思った。

あんこやぺ

小豆と粗糖のみでじっくり作るあんこ屋です。岡山県美作市にあんこや・喫茶店を営業しながら、月に1、2回大阪中津のキタナガキッチンであんこ販売を続けています。
Instagram:@ankoya___pe

10月26日 火曜日
文/Œuf(ウフ) 渡辺星良

火曜日はいつもより1時間早く起きる。子供達を送り出して、私もキタナガKITCHENへ向かう。今日は昨日よりも暖かい。
昨日の大雨で道路が濡れていて、空気がしっとりしている。
お店に着いて、まず始めにすることは、チーズケーキを焼くこと。オーブンを250度まで上げると、一気に部屋が暖まる。夏はチーズケーキを焼くだけで汗だく! チーズケーキを焼いても汗をかかなくなると、「ああ、夏も終わったなあ」と思う。キッシュをカットして、サラダを用意して、スープを温めたらお店をオープン。
いつもお仕事で中津に来られているとっても元気なおじさまがいる。2ヶ月ぶりくらいにお会いした。相変わらず、とっても元気で久しぶりに会えて嬉しく思う。今日は、お客様と日曜日にあったライブの話で大盛上り! お昼はお隣りのShitenで出店されている「雨食堂」さんのカムジャタンの定食を頂く。スペアリブがホロホロでとっても美味しい!
緊急事態宣言中は会えない人が沢山いた。キタナガKITCHENに来てお客さんやキタキチのメンバーと他愛もない話をする。この場所があって良かったなあ。さあ、パワーを沢山もらって、またキッシュの仕込みがんばろ!

Œuf

フランスアルザス地方の郷土料理「quiche(キッシュ)」を中心に家庭料理や焼菓子を焼いています。北海道産小麦粉を使って生地から手作り。旬の食材を使った様々なキッシュを焼いています。
Instagram:@oeuf___

10月27日 水曜日
文/トアル食堂 藤原愛子

お店に着いたらまずラジオ。番組で時間の流れを把握しつつ、ある番組が始まると焦りだすワタシ。
兎にも角にもお米の準備。副菜がコロッケの日はいつもより準備が忙しいのにそんな日に限って忘れ物をしてしまった。
家人に持って来てもらおうと電話したけど繋がらず、取りに帰ることに。。。あのヤロウ寝てるなと妬んでる時間がかなりロスになりさらにあせるワタシ。
お米が炊けている匂いを嗅ぎながら、生春巻きやらを仕上げてるとどんどん開店の時間が迫ってくる。コロッケがいまだ半分くらいしか揚がってないのにもう開店時間。お客さんがお待ちだ。またあせるワタシ。
もっと準備万端にできたらいいのだけど、追い込まれないとやれないこの性格をなんとかしたいと思う常日頃。

この日も嬉しいことに予約も合わせて完売御礼。
夕方取りに来るお客さんのご飯が足りなくなったので急いで準備してる中、お昼過ぎに笑い飯の哲夫さんが出演しているラジオがあり、毎週それを聞きたくて朝からチャンネル合わせているのに、あせっている私の耳には入ってこない。
そういえば、ちょうど中津に越して来た小学生の頃、家にはテレビが無くてラジオばっかり聞いていたなー。壊れたのをキッカケに父親が買わなかったのだけど、親となった今、その気持ちは分からなくもない。テレビばっかり観てる息子を見ると取り上げたくなるし。テレビだけじゃなくYouTubeやゲームと取り上げたいものが沢山。
でも、昔はテレビが見れないと学校でまあまあ話についていけなかったから、同じようになってもかわいそうだし。。。
今も昔も変わらない部分もあるのかな…なんて感傷にふけっている暇があるなら片付けしないと。息子が帰ってくる時間だと結局あせるワタシ。
あれ!? ずっと焦ってる? テンパってる!?(笑)

トアル食堂

化学調味料を使わず、なるべく無農薬、減農薬野菜を使用。原料にこだわったごはんをどうぞ。
Instagram:@toarushokudou

10月28日 木曜日
文/シフォンケーキあれこれ 木村久美子

朝は苦手。スヌーズを4回繰り返し起きる。 家族の朝ごはん、ゴミ出し、お取置き分の内容確認、あれもこれもと頭の中で段取りがぐるぐる。
わっ、もうこんな時間、急がなきゃ! と、パッと立ち上がったと同時に飲みかけのコップが倒れテーブルも床も水びたし。学校に提出するプリントがふよふよに…コソっとふいて乾かす。うん、いい感じ、これなら子供にバレないぞ、しめしめ! いや満足してる時間はない。急がなきゃ。
昨日ポカッてひとつお取置きを間違えたり、今朝はコップ倒したり。やばいぞ今回はいつも以上にトンチンカンだ!!! こんな時は、より慎重にゆっくり丁寧に! と念じて出発。

通勤時間で混んだ地下鉄に乗り込む。 駅を出たところにあるパン屋さんのいい香りや、バス停で待ったり乗り込んだりする風景。一日の始まりを感じて好き。
今からオープンまでやりたいこといっぱい。無心モードで集中。 よし! なんとか間に合った。あとはお客さんに感謝してシフォンケーキを販売する大好きな時間。今日も頑張るぞ!

シフォンケーキあれこれ

できるだけ余計なものは使わずシンプルな材料で丁寧に焼き上げた甘さ控えめのふんわりしっとり系シフォンケーキです。気づけば25年、シフォンケーキを焼き続けております。
Instagram:@kumisukechiffon

10月29日 金曜日
文/もり弁 森下智香子

朝はちょっと寝坊した。今日は朝ドラの最終回だ! モネちゃんに元気と勇気をもらって、荷造りしていそいそと自転車でキタナガへ向かう。30分くらいの道のりは、中津に通うようになってすぐに、お気に入りの定番ルートになった。毛馬の閘門(こうもん)を横目に大川の橋を渡る時、昔みたジブリのアニメのように、違う次元の世界に入ったような気分になる。ぐんぐん信号のない淀川の堤防沿いに開けた空の下を、いくつもの鉄道の高架の下をくぐりながら自転車をこぐ、この時間が頭の切り替えにぴったりなのだ。まずお米の鍋を火にかけながら野菜の下ごしらえをして、と調理の段取りを脳内シミュレーション。予約は何時と何時だったっけな。今日はいつものお客さんに会えるかな? あ、ゴゴゴゴーと電車のやってくる音がする。阪急かな?
秋の青く高い空と風と川と橋と鉄道なんて、素敵すぎる組み合わせだ。この辺りはでっかいマンションが多く立ち並んでいるけど、上の方に住んでいる人は眺めいいんだろうなぁ。
そんなことを走りながら考えていると、最後の高架橋、JR線の狭い煉瓦造りのトンネルがやってきた。くぐり抜けると、お弁当屋の一日が始まる。

もり弁

お弁当屋や手作り味噌のワークショップをしています。あったかいお味噌汁つきの、発酵食品を取り入れたごはんで、ほっとできるお昼の時間を作りたいと思って始めました。自身は兼業WEBデザイナー。
Instagram:@moriben.friday

10月30日 土曜日
文/GUILD 榮川智子

今日はなかなかいい日でした。
お店を開けて早々に来てくださったお客さまが先日ご購入いただいた商品を身に着けて「いい感じなの~」って、うれしいご報告をくださいました。これだけでもかなりテンション上がりますが、ヒロシくんにも会えました。ヒロシくんはヤギです。キタナガの露地庭では動物を見かけることがよくあります。キタナガで出店されている方たちのペットです。ヤギの他にもイヌ、ネコ、ウコッケイ…私は今までメダカとハムスターしか飼ったことがないですが、動物好きです。「ヒロシく~ん。ヒロシく~ん」と呼んでもなかなかこっちを見てもらえないのですが、わたし笑ってるんです。これ何の笑顔?? 動物のパワーはすごいです。気分よく中津駅から天王寺行きの御堂筋線に乗り、座って帰りました。
中津に通い出してまだ日は浅いですが、ゆったりと時間が流れる感じ、ゆる~っと笑顔になれるここのことを結構気に入っています。

GUILD

作家やデザイナーとその活動を応援する人たちがつながり、交流の場となる「サポーターズショップ」。
Instagram:@g_u_i_l_d

10月31日 日曜日
文/miya_bake 宮下麻奈

しっとり雨の朝。ほんとうなら歩いて向かうのが好きだけど今日はバスでキッチンへ。日曜日の朝なのに人が多い。みんなどこへ行くんだろう。バスを降りて大通りから少し路地に入ると見えてくるナガヤ。朝の静かなナガヤの雰囲気が好き。さあ開店に向けて準備と思ったらしまった、卵が足りない。でも大丈夫。ご近所のスーパーには良質な卵があるので。しかもバラ売りで。卵2個をわしづかみレジに持っていくと、パックしてあげるね! と。パック? どうやって? と思っているうちに渡された卵はなんだか可愛い姿に。ありがとう、おばちゃん。無事に当日焼きのマドレーヌも仕込み、そろそろ営業開始。
今日もゆったり時間が流れる。こんにちは~と常連さんやお久しぶりの方など。ここのが美味しくてと何気に話してくれることがじーんと嬉しく、ありがたく。少しでも長く続けられたらいいなとしみじみ思う。夕方になってもポツリポツリとお菓子を買いに来てくださり最後のお客様を見送った頃には外はもう真っ暗。片付けをすませ、退出。ガラガラガラと荷物を引きながらのんびり歩いて帰る。今日も無事に終えれたことに感謝。来週も頑張るぞ。

miya_bake

小麦粉・砂糖を使わない焼き菓子。家族が体調を崩したことをきっかけに食への意識が変わる。少しでも身体への負担を減らしつつ心を満たせるような焼き菓子づくりを目指す。
Instagram:@miya_bake

キタの北ナガヤ

2018年6月に再生された複合ナガヤ。「キタナガKITCHEN」では、日替わりで9つの店が出店。「多目的レンタルスペースShiten」でも料理教室やカフェ、ワインバー、展示販売会などが日替わりで登場するほか、2階は「再生長屋の宿BIO」という民泊施設で、さまざまな人が入れ代わり立ち代わり訪れる場所となっている。
住所/大阪市北区中津1-15-35
https://kitanaga.com/
Instagram:@kitanokitanagaya

※キタナガKITCHENの担当店スケジュール:
https://kitanaga.com/sg/106s.html
Instagram:@kitanagakitchen

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