イラストレーターのタダユキヒロさんは、関西のUR団地に暮らしています。そこで目にした風景をスケッチしてもらいながら、日々の暮らしについての話もあわせて掲載。
今回は、ある団地の風景スケッチと、散らかった部屋について。


散らかり放題の部屋。
たとえば本のこと

今、住んでいる部屋は広くて収納も多い方だと思う。越してきた当初は広々と暮らせると思っていたが、そうはならなかった。

まず、玄関に大量のダンボールがいつも積み上がっている。中に何が入っているのかというとダンボールだ。ダンボールを開けると小さなダンボールが出てくる。マトリョーシカのごとく。
展示の搬入や海外への作品発送など、いつどこで必要になるかわからないのでなかなか捨てられない。80サイズ、100サイズといった宅配サイズのものはもちろん、巨大ダンボールも念のためにとってある。これまでに捨ててしまって後悔したことが何度もあるし、エコへの貢献だとも思っている。

ただ大量のダンボールにストレスを感じているのは確かで、たまにダンボールをすべて使い切ってしまうとスッキリ気持ちがいいので、実はかなりの精神的コストを払っているのかもしれない…などと玄関で毎日思う。思わない日はない。
ひとまず玄関はそんな感じになっている。

そもそもが物を大切にするように育てられたので、捨てることに罪悪感を感じる。また心配性ということもあり、念のためとっているとどうしても捨てることができなくて、物が増えていくばかりである。

大量にあるものといえば本である。ほとんどが漫画や画集といった絵の本が中心だが、そういった本は重い。デカいハードカバーの画集などは重いうえに存在感がある。といって毎日見るはずもなく、1年で一度も開くことのない本が大半。生涯であと何度見るかわからない本が、本棚に大量に収まっているかと思うと頭がおかしくなりそうになる。

本棚には手前と奥、2列で本を収めている上に、本の上部に空いたすき間にもどんどん本を入れ、本の手前の空きスペースには置き場がないほどフィギュアを飾っている。おかげで本を1冊取り出すのでさえ億劫でストレスがすごいのだが、そうしなければフィギュアを置く場所がないのだ(フィギュア問題も話せば長くなる)。

あまりに本が増える一方なので、「一度も読んでない本」のために大きめの本棚を買ったが、それもすぐにあふれてしまった。ならば、と今度は床置きできる木箱を買った。もともと床に積まれていた本をその中に収納することができてスッキリしたが、それもわずかな期間だけで、またあふれ出したので木箱を追加購入。それを繰り返しているうちに、木箱を2段積み上げたその上に本が積み上がるタワー状態に。さらにどこで間違えたのか、本棚の前に木箱を積み上げてしまい、さらにその周囲に本タワーやダンボール箱があって、木箱の奥の本棚にある本なんてまず取り出せない状況…。

結果的に本は3つの部屋に分散して置いているのだが、ほとんど本の背を見るためだけに買ったようなものだ。資料目的で買ってあっても、物理的に本に手が届かないこともある。本棚の奥の奥にその本の背が見えているので、バランスを取りながら手を伸ばして体がつりそうになり、なんとか目当ての本をとることができることもあるが、届かないときもある。面倒になって電子書籍で購入したこともある。読んでない本だけでも大きな本棚1本分はあふれている様を毎日見ていると、自分の愚かさに頭がクラクラする。
それでも本は増えていく。

スケッチ/タダユキヒロ 編集/竹内厚

記事をシェアする
NEW ARTICLES
/ 新着記事
RELATED ARTICLES
/ おすすめの関連記事
近くのまちの団地
住まい情報へ