角部屋ではじまる二人の暮らし
後編:指輪代わりに照明を

[千里ニュータウンシリーズ]

角部屋ではじまる二人の暮らし
後編:指輪代わりに照明を

一人暮らしと実家暮らしをしていた二人が、結婚を機に竹見台団地にお引っ越し。荷物でいっぱいの部屋を撮影させてもらった日の後、世界はコロナ禍に見舞われていきました。“手作りの本棚完成と指輪代わりにと注文している照明器具が到着したら、また撮影を”と約束してから半年が経過。それでも二人は照明器具の箱を開けずに待っていてくれました。後編では、外出ができない日々で発見してきた暮らしぶりと、待ちに待った開封の時間をお届けします。


夏の日差しを柔らかく遮る竹林のある竹見台団地に到着。
半年ぶりの再会。なつみさんと航(わたる)さんが揃って迎えてくれました。

「ちょっと見せたいものがあるんです!まずはこのまま屋上へ」と家の中には入らず、二人に案内されて向かったのは居住棟の共用屋上。手には折りたたみのアウトドア用椅子。何をするのかなぁと眺めていたら、それは「チェアリング*」でした。二人は最初の緊急事態宣言下での日々、誰もいない屋上で洗濯物を干している時に自然と発見。ほんの少しだけでもマスクを外して外の空気を吸う時間は、在宅ワークの日々の切り替えになっていたとのこと。私も一緒に深呼吸して、風景を眺めて、それから家の中へと向かいました。

*チェアリング:ライターのパリッコさんとスズキナオさんが2016年頃から提唱。“アウトドア用の椅子だけを持って街に出かけ、公園や水辺などの好きな場所に椅子を置き、ひとときリラックスして過ごす、もっとも敷居の低いアウトドアアクティビティのこと”として広まりました。(引用元URL:https://san-tatsu.jp/articles/43878/

開けずに待っていてくれた照明器具が玄関に!
キッチン周辺の床には置くだけのフローリング材を敷き詰めて。

家の中はすっかり整って、航さん自作の本棚も完成していました。ホームセンターで買ってきた木材、これから照明器具を置く部分の形など、試行錯誤を重ねたそう。そしてもう一つの発見を教えてくれました。

「在宅ワークが続いて、だんだん腰が痛くなってきた時に、一番落ち着く場所が見つかったんですよ。背中がね、ちょうどいい感じで当たって良いんですよ、ここ(笑)」
と言って、座布団とパソコンを持って洗濯機の前に座って見せてくれる航さん。フローリング材の柔らかさもあいまって、思わぬワークスペースの誕生だったのですね。

「それでは」と、いよいよ待ちに待った照明器具の開封をしようということになりました。二人はジャンケンをして、どちらが点灯を担当するかを決め始めました。

結婚指輪代わりに、ずっと大事にできる陶器でできた照明器具を選んだという二人。到着を待つ時間も、こうして開封を待つ時間もじっくり温めて。最後は一緒に点灯しないのも、なんだか二人らしくて笑ってしまうし、ついに灯りが灯ると、ここが結婚式の会場のようで、思わず「おめでとう!」と言っていました。「ありがとうございます!」と拍手して喜ぶ姿に、またまた目頭が熱くなってしまいました。

立ち会えてよかった。そんなひとときを名残惜しみつつ。

写真・文:平野愛

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