これが団地ソムリエの実力。
けんちんさんと片山公園団地めぐり!

これが団地ソムリエの実力。
けんちんさんと片山公園団地めぐり!

けんちんさんが「死角のない団地」と表現する吹田市の 片山公園団地 。けんちんさん案内のもと、団地を巡ってみれば、片山公園団地の魅力とともに、けんちんさんが団地ソムリエと呼ばれる理由もわかってきました。団地への解像度がケタ違い!

銘板とエントランスだけでも話が止まらない!

―それでは、けんちんさんにツアーガイドになっていただいて、UR片山公園団地をめぐっていきましょう。

片山公園団地は隣接する公園名を名前に入れちゃってることからもわかるように、公園が団地の一部みたいになってるんです。景色がめちゃくちゃいい。だから空きが少なくて。この団地にはひとり引っ越しを手伝いました。

―けんちんさんの推しポイントが知りたいです。

じゃあ、まずは入り口そばにある銘板を見にいきましょうか。

―おぉ、緑豊かなエントランス。めっちゃ「いい顔」ですね。あと、カーブしてるデザインがかっこいい。

けんちんさんが指差す先にあるのは民間マンション。

おそらくダンカン(団地環境整備工事の通称)のときに、隣にあるマンションのエントランスとデザインを合わせたんじゃないかと推測できます。で、銘板にちゃんとスポットライトが設置されてるでしょ。

―そこ、グッとくるポイントなんですか。

公団時代ってどの団地も銘板をそこまで重視してなかったんです。銘板が埋もれてたりしてましたから。つまり団地名はそこまで意識されず、公団住宅というひとつの物体として存在していた。それが2004年にUR都市機構になってから、個になった。「自分は片山公園団地って名前です!」と、自信を持って言えるようになったというか。銘板にスポットライトがあるというのは、ダンカンのときにちゃんと団地名にスポットを当てようと、愛を持った職員の誰かが言ったんじゃないかな。

―銘板ひとつでそこまで読み解きますか。

ちなみに銘板のURのロゴマークを見てください。花が咲いてるでしょ。名称が都市基盤整備公団になったとき(1999年)に登場したマークで、そのときは「U」のところだけだったんです。これ、僕らのあいだではバンザイマークって言ってます。で、2004年に都市再生機構に変わったとき、マークどうなるんやろ……って、愛好家たちはざわついてたんですね。そしたら「わっ! 花咲いた!」って。

「もともとがこれだったんです」とロゴの解説がはじまる。
「バンザイマークに花咲いた!」。当時の団地愛好家たちの心にも、ほっこりかわいい小花が咲いたことでしょう。

そこにどうして「C」があるのか

―次なるスポット、住棟前にやってきました。

C-1、C-2と住棟にCが付いてるじゃないですか。実はこのCって公団を表してるんです。大阪府の公社がA、府営住宅がB、公団がCで社宅がD。アルファベットで分けられてるんですけど。

―それ、まったく知りませんでした。

昭和30年代、公団、公社、府営、社宅のABCDがすべて揃う千里ニュータウンができた頃から見られるルールです。ただ、府営住宅は所得が厳しい人に向けて供給されてる住宅で、住棟表示でそれが可視化されるのはどうなんだ、ということで昭和40年代後半に廃止されたんです。片山公園団地は昭和47年にできた団地なので、住棟表示の晩期ですね。でもね、不思議なんですよ。わざわざ名乗らなくてもいいのにCのバッジを付けてるのが。

―どういうことでしょう?

この界隈にはね、A=公社もB=府営住宅もなかったんです。確かに隣に国鉄の社宅はあったけど、でもここはDじゃなかったんです。東西南北で振り分けていて。混同することはないんだからCを名乗る必要がなかったんです。なんなら社宅があった場所が今は大和大学になってる。でも今もバッジを付けたままなのがおもしろい。

―Cを取りましょうとはならなかったんですかね。

住所に入っちゃってるんで、取ってしまうとたぶんややこしい。けど、知らない人からしたら「このCってなんやろ…」ってなりますよね。


違うタイプの団地が横並びに

―団地を読み解くのって楽しいですね。

目の前にふたつの住棟がありますけど、団地のデザインがちょっと違いますよね。右のC-1号棟が、エレベーターが全階に停止する住棟で、部屋は1DKタイプ。左のC-2号棟は、エレベーターの停止階が数階おきになってるスキップフロア型で、こっちは2DKです。廊下がないから広い部屋が供給できるんですよ。

こちらがスキップフロア型団地。共用廊下が4階と7階にしかない。

今でいうと1DKって単身者が住むイメージがあると思うんですけど、ここができた昭和47年当時は小世帯型という考えで、子どもがひとりなら1DK、子どもがふたりなら2DK以上に入る。住戸の大量供給を頑張ってた時代の団地ですね。

―そして、C-1号棟はベランダのデザインが独特!

耐震補強で取り付けたフレームをそのまんま見せるデザインにしてる。ベランダも以前より広くなって。これはかっこいいですね!


公園に包みこまれるような立地
片山公園と向かい合うC-6号棟(2DKタイプ)の住戸にお邪魔してみました。ヒーリング効果がハンパない眺め。
C-6号棟は、浴室ドアの穴にホースを差し込んで洗濯排水を行うタイプ。「(リノベしていない場合は)昭和30年代の団地だと穴もなくて、浴室ドアを開けて排水しないといけない。穴が開いたのはピッタリ昭和40年からです」。頭の中のデータベースから年代がすっと出てくるんだなぁ…。
スキップフロア型団地では廊下のある階から各住戸へ階段移動となる。
C-1号棟へ。こちらはツインコリドール型で大きな中庭を廊下が取り囲む。
共用廊下に突然出現する丸太のベンチ。フォレスト演出でしょうか。
片山公園団地は公園だけでなく、公営プール、図書館、体育館にも隣接。
中庭にフシギなオブジェが。「これが何なのか、なぜ置いてあるのかは、あんまり考えなくていいです。意味はないんですよ。片山公園団地は万博のちょっと後にできた団地なので、こういうオブジェをさらっと置いちゃってるのがいいですね」。
ちなみにインタビューは中庭で行いました。プレイロット(幼児公園)のクジラの口のなかに置かれてるのは、けんちんさんのトートバッグ。公団住宅と縁も深いアレです。
正解は「ドムドムハンバーガー」のトートバッグ。クジラさん、コロッケバーガーを食べていました。※団地とドムドムの蜜月についてのけんちんさんの持論はインタビュー記事をご覧ください(こちら
片山公園を抜けて駅へ向かう。阪急豊津駅から徒歩10分、阪急吹田駅から徒歩11分、JR吹田駅から徒歩16分の立地。

取材・文/廣田彩香 撮影/坂下丈太郎 編集/竹内厚

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