陸奥賢さんと
梅田のまち歩き辞典をつくろう!03

[梅田シリーズ]

陸奥賢さんと
梅田のまち歩き辞典をつくろう! 03

ターミナル、地下街、高層ビルで埋め尽くされたように見える大阪・梅田。ですが、実はまち歩きにも適した、さまざまな歴史と文化の積み重なったエリアなんです。
大阪各地のまち歩きをガイドしている陸奥賢さんにお願いして、梅田がもっと楽しくなるキーワードを少しずつ紹介してもらいます。今回は、阿呆陀羅経、怪盗イナズマ小僧、大阪タワーとゴモラ、ソーライス、ナマズ稲荷…と強めのワードが揃いました。


阿呆陀羅経
[あほだらきょう]

文化年間(1804~1818)に太融寺門前に現れた大口斎呑竜という男。「仏説阿呆陀羅経申す。釈迦も提婆も生れた時には空々寂々…」などと口上を述べて、当時の政治状況、汚職事件、社会風潮などを面白おかしく揶揄する「阿呆陀羅経」の大道芸で有名になりました。大口斎呑竜とは何者なのか…その正体はさっぱりわかりませんが、「竜を呑むほどの大口(大ぼら吹き)男」といった意味合いでしょう。

:阿呆陀羅経は大坂から始まって日本全国各地に広まったそうですが、リズム重視、早口、韻を踏むといった特徴から日本語ラップの源流と呼ばれたりします。ラッパーはぜひとも太融寺にお参りしましょう。南無阿呆陀羅経~


牛の藪入り
[うし-の-やぶいり]


大阪タワーとゴモラ
[おおさかたわー-と-ごもら]

1966年、大阪朝日放送の電波塔として大阪タワーが建てられました。高さは158メートル。大阪の新名所として1日4000人以上の来場者が訪れたこともありましたが、大気汚染の影響などであまり景観はよくなかったといいます。また、1967年に放映されたテレビ番組『ウルトラマン』の第26話・第27話「怪獣殿下 前篇・後篇」では、古代怪獣ゴモラの対策本部が大阪タワーに設置されます。

:ゴモラはジョンスン島に生息していた1億5000万年前の恐竜ゴモラザウルスの生き残りで、大阪万博に展示するため(!)、麻酔弾で眠らせましたが途中で麻酔が切れてしまい、大阪市内で大暴れして大阪城を破壊する…というムチャな設定でした。良い時代です。

大阪駅の初代駅長
[おおさかえき-の-しょだいえきちょう]


怪盗イナズマ小僧
[かいとういなずまこぞう]

明治42(1909)年、堂島浜にあった明治旅館で怪盗イナズマ小僧こと、西尾柳喜が捕まりました。西尾はヴァイオリンが得意という芸術肌の優男で、社交界でモテモテ。女学生の妻までいました。しかし、それは表の顔。裏では箱根や鎌倉などの大豪商の別荘を狙う空巣のプロでした。あまりの西尾の羽振りのよさを怪しんだ刑事が、取り調べすると白状したといいます。

:盗んだお金は孤児院や慈善団体に届けていたとか。懲役15年の判決に控訴もせずに服役し、これまた人気がうなぎ上りに。しかし、出獄後も懲りずにまた窃盗で捕まり、その後の消息は不明です…。


渋谷ビール
[しぶたにびーる]


ソーライス
[そーらいす]

昭和4(1929)年、阪急百貨店が開業。鉄道会社経営の百貨店と駅とが連結した「ターミナルデパート」で、世界初の快挙でした。とくに有名だったのが最上階にある阪急大食堂。カレーライスが人気でしたが、値段が高いので、ライスだけを注文し、テーブルに備え付けの無料のウスターソースをかけて食べる人が続出したといいます。ソース+ライスなので、その名も「ソーライス」。

:大阪には、実は日本ソース工業会所属のソースメーカーが9社もあり、愛知(7社)、東京(6社)、京都(6社)、兵庫(5社)を抜いて日本一です。ぜひ各家庭で大阪の地ソースを買い集め、ソーライス品評会を!


大日本ドケチ教
[だいにほんどけちきょう]

谷三兄弟
[たに-さんきょうだい]

兎我野の鹿
[とがの-の-しか]


ナマズ稲荷
[なまず-いなり]

「お初天神」の愛称で知られる露天神社には開運稲荷社という摂社があり、明治42(1909)年にキタの大火で焼失した玉津稲荷を合祀しています。かつて玉津稲荷の近くには小川があり、そこにナマズを放って願掛けすると皮膚病が治るといわれたところから、ナマズ稲荷とも呼ばれました。北新地の女性たちがよくお参りしたそうで、開運稲荷社には今でも「美肌祈願」のナマズの絵馬が掲げられています。

:なぜナマズなのか? それは謎ですが「玉津が訛った」説があります。昔は梅田界隈にもきれいな小川が流れていて、ナマズがたくさんいたのかもしれません。お初天神は縁結びの神さまですが、縁結びのためにも美肌祈願の開運(玉津)稲荷さんもお参りしときましょう。

菜種御殿
[なたねごてん]


歯神社
[はじんじゃ]

ワールド
[わーるど]

王仁博士
[わにはかせ]

参考文献:
『摂陽群談』(著・岡田渓志)
雑誌『郷土研究 上方』(創元社)
『大阪人物辞典』(編・三善貞司/清文堂)
『大阪史蹟辞典』(編・三善貞司/清文堂)
『一銭五厘の旗』(著・花森安治/暮しの手帖社)
『ウルトラ怪獣大全集』(小学館)
日本ソース工業会サイト:http://www.nippon-sauce.or.jp//


陸奥賢

1978年大阪生まれ。「世界観に光をあてて揺さぶる」をモットーに「大阪七墓巡り復活プロジェクト」「まわしよみ新聞」「直観讀みブックマーカー」「当事者研究スゴロク」「劇札」「歌垣風呂」「仏笑い」など、日夜、妙な遊びの仕組みを作って世間に広めている。


文:陸奥賢 編集:竹内厚

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