[PEOPLES]
うめきた2期地区開発プロジェクトにかかわるシゴト
三菱地所
2023.04.06
大阪駅の北側に広がる約24ヘクタールの土地の開発を進めるうめきたプロジェクト。 2013年に開業したグランフロント大阪を先行開発区域として、つづく第2期の工事が着々と進んでいます。
2023年2月、このうめきた2期地区開発プロジェクト名称が「グラングリーン大阪」に決定。
今回は「グラングリーン大阪」の開発事業者JV9社の代表企業を務める、三菱地所の丸山愛斗(よしと)さん、鳥居和真(かずま)さんに話を聞きました。
リーシングもいよいよ本格化!
― まず最初におふたりの仕事内容を教えてもらえますか。
鳥居: 関西支店のグラングリーン大阪室に所属しています。三菱地所には2年前に入社し、新卒社員として現在のチームに配属になりました。建物の開発だけでなく、工事の調整、行政との調整などにも携わっています。
丸山: 私は2022年4月に東京から関西支店に異動してきました。現在は主に「グラングリーン大阪」の南街区にできるオフィスのリーシングを担当しています。
― もうリーシングが始まっているのですね。
丸山: 2024年11月末にオフィスが竣工する予定です。今、まさに建物がどんどんつくられているところで、それと並行してリーシングも具体的に進めていっているところです。「グラングリーン大阪」の開発エリアには中央に大きな公園があって、その北側にグランフロント大阪とデッキでつながる北街区、南側にはJR大阪駅に近い南街区ができます。この南街区が私たちリーシングチームの舞台。
南街区には、ゲートタワー、パークタワーいう2棟のオフィスタワーが建つのですが、ゲートタワーのオフィスフロアは13フロアで約6,000坪、パークタワーは22フロアで約28,000坪です。テナント数は100を超え、ワーカーの総数はおよそ1万人規模になると思われます。その背景にいらっしゃるご家族まで考えると、数万人が関わる街になります。公園を目の前に新しくこんな場所ができることは世界を見渡してもなかなかないのではないでしょうか。

― すごい規模ですね。リーシングの手応えはどうですか?
丸山: 大阪で「うめきた」を知らない人はいらっしゃいませんし、長く工事が続いているので一体どうなっていくのかと興味をもっている方も多い。お陰様でたくさんの問い合わせをいただいています。
― 建物がないのにテナント入居を勧めるのは難しそうですね。
丸山: そうですね。まだ試乗できない車を勧めるようなものですから、難しさはあります(笑)。でも、私が大阪に来た1年前の「うめきた」はまるで更地でしたが、今では建物がかなりできつつあるのでそれを実際に一緒に見ながら、パースや模型も使いつつ「あそこがこんなふうになるんですよ」という話ができるようになりました。日に日に現実味を帯びてきますから、熱量を持ってお伝えすることができています。

― コロナ禍を経て、社屋・拠点を持つことに消極的な企業が増えているようにも思いますが、そのあたりはどうでしょう。
丸山: コロナ禍を経て、改めてオフィスに顔を突き合わせて出社する重要性を再認識する企業様の声や、「テレワークが定着しすぎて、社員が出社してくれなくて困る」というようなお悩みも耳にしますね。企業側のお話を伺っているとやはり同じ空間を共有することの大切さを実感されているようです。大阪の企業様は特に「顔を合わせること」を大事にされているようにも感じます。
鳥居: グラングリーン大阪では、これまでにはない 「まったく新しい働き方」 を提案していきたいと考えています。たとえば、西棟4階に設置するオフィスラウンジ。これは私がメインで担当したエリアでもあるのですが、入居される企業の方が自由に使えるスペースで、とても上質な空間に仕上がったと自負しています。
― オフィスラウンジはどのような空間なのでしょう。
鳥居: 天井高約7メートルで開放感のある空間でランチを楽しめるダイニングラウンジやサードプレイスとなるカフェラウンジの他に、多様なワークシーンに対応可能なフォンブースを完備したワークスペースもあります。そして目玉となるのはおよそ600平米のテラス! 公園ビューがいちばんきれいに見える場所にテラスを設けました。もちろん、公園に出て仕事をしていただいてもいいのですが、そこまで行かなくても木々の緑や風、人の動きなどを感じながら仕事をすることができます。

― 公園ビューの特等席を集客スペースに使わなかったんですね。
鳥居: 経済的な観点で見れば、そうするのがいいのかもしれません。でも、グラングリーン大阪はこれまでにはなかったまったく新しい街なので、付加価値やゆとりを追求したいと。自分の職場の固定のデスクだけが仕事場じゃない、同僚以外の人との出会いからアイデアを創出する…、そんな新しい働き方もあるんじゃないかなという提案です。

海外企業にも目を向けて
― 「まち」をつくるって、なんだか壮大で、想像もつかない仕事ですね。
鳥居: まちづくりには本当にたくさんの人が関わっているんです。自分がその中に実際に入ってみると、そのことを実感というか、痛感します。特に私にとって梅田は、学生時代に通学で毎日通っていた街なんです。「うめきた」の工事もずっと見てきたので、今、自分がそこに携わっていることがなんだか感慨深いです。
丸山: 特にグラングリーン大阪は世界的にみても稀有な街になりますね。中央の公園は4.5ヘクタールとターミナル駅に直結するものとしては世界最大級の面積を誇ります。また、JR大阪駅に「関空特急はるか」が停車するようになれば空港からのアクセスも抜群に良くなります。我々としては国内の企業だけでなく、海外企業にも目を向けてリーシング活動を進めていて、実際、海外の方は自然に近いこと、緑が多いことに対してより感動していただける印象があります。
さらに、街はつくって終わりではなく、その後も長い目線で育んでいかなければなりません。一緒にグラングリーン大阪という新しい街を盛り上げること、育んでいくことに共感いただける企業様にもご入居いただけるよう日々働きかけていますが、その責務の重大さもひしひしと感じています。
― 入ってくる企業によって街のカラーが変わりそうですね。
丸山: そうですね。グラングリーン大阪の特徴はなんといっても目の前に公園があることです。なので、公園といった自然や環境と親和性のある活動をされている、あるいは、これから活動されたい企業様にはグラングリーン大阪という街を存分に活用いただけるかと思います。近年SDGsに関する取り組みを精力的に行う企業が増えていますが、ターミナル直結の公園はその舞台にもなる。企業様のPRにもなるし、公園もさらに豊かさを増す。そんなWin-Winの関係を築きながら一緒に街を育んでいきたいですね。
鳥居: ここまでオフィスや働き方の話を中心にしてきたのですが、うめきたはワーカーのためだけの街ではありません。先ほどのオフィスダイニングラウンジもディナータイムは一般の方の利用も検討しておりますし、テラスなどでイベントを行う際にはぜひ一般の方にも訪れてほしい。また3つの宿泊施設も入り、さらにMICE施設もあります。ワーカーもいれば、公園に遊びに来ている人もいる、家族連れもいれば、学生グループもいて、海外からの旅行者やビジネスパーソンも。そんな多様な人たちの出会いから新しいものがどんどん生み出されていく街になればいいなあと思っています。

「長く愛される街にしたいですね」
― そんな街がまさに生まれようとしているのですね。今後の課題としてはどのようなことを考えていますか。
鳥居: そうですね。知ってもらうこと、でしょうか。この「うめきた2期開発事業」のプロジェクト名称を2023年2月に「グラングリーン大阪」と決定しました。「うめきた1期」が「グランフロント大阪」、2期が「グラングリーン大阪」ということなのですが、まだまだ認知度が低いので、たくさんのみなさんと協力しながら、国内はもちろん、広く海外にも知ってもらえるようにするのがこれからの課題かなと思います。
丸山: 開発がおおむね終了して、リーシングはこれからまさに本格化していくところです。先ほど鳥居が「まちづくりには本当に多くの人が関わっている」という話をしましたが、これまで2期に関わってきた人たちの想いや願いを実際に届ける役割を担っていることに心地よい重圧を感じながら精一杯やり抜きたいところです。そして、ご入居いただいた方に「グラングリーンに入居してよかった」「グラングリーンでこれからも働き続けたい」と思ってもらえるようにしたいとも思いますね。
鳥居: 長く愛される街にしたいですよね。
丸山: その辺りは1期の「グランフロント大阪」がいいお手本になっています。「グランフロント大阪」でも我々、民間の事業者JVがチームとなってエリアマネジメントを行ってきました。「グラングリーン大阪」でも同様に民間の事業者JVが一丸となってエリアマネジメント、パークマネジメントを行います。駅前に緑をつくるとこうなる、多様な人が有機的に交わるとこんなものが生まれる、という世界のお手本に「グラングリーン大阪」がなれると思っています。


取材・文/清塚あきこ 写真/バンリ 編集/竹内厚