『machi bo ken』 
小林英治=写真・編集・発行

『風をこぐ』 
橋本貴雄=写真/モ*クシュラ

『動物たちの家』 
奥山淳志=著/みすず書房

まちにはたくさんの犬がいて、それぞれが輝いている。でも、ときには疑い深い犬もいて、ワンワンと吠えて、ウーって唸る。その顔は、誰かと生きてきた厳しい時間が凝縮されていて、どこか悲しげに見えてくる。しかし、3冊の本を読んでいると、犬たちはみんな優しくて、人間がどのような状況であろうとも、寄り添って向き合ってくれることが手に取るようにわかってくる。実際に、イライラしていると、犬は寄ってきてくれる。優しくありなさいと教えてくれるのだ。しかし、団地に暮らすと、犬は飼えないので、仕草や言葉を翻訳してくれている良書を隣に置いておくだけで気分も変わる。また、街を歩けば、ご機嫌に散歩している犬にも会えるだろう。すれ違う度に、犬は「優しくありなさい」と声をかけてくれる。僕も犬のように優しく生きていきたい。

1『machi bo ken』
街に繋がれた犬は、待っていることを知っている。好奇心を見せるか、不安を見せるか、それぞれの性格が見えて面白い。小林さんのMachi bo kenは、そんな犬たちの人生の一瞬を切り取っている。

2『風をこぐ』
『風をこぐ』の主人公でもあるフウちゃんは、橋本さんといろんな街に暮らしてきた。犬と人間の一生が、美しく散りばめられている写真集で、古谷誠一さんの『Christine Furuya-Gossler / Mémoires, 1978-1985』や、金川晋吾さんの『father』と重ね合わせて読んでいた。

3『動物たちの家』
奥山さんの写真は、声が聞こえてくる。そして、生死をこえて、命に触れるような文章は、グラグラと心が揺れた。何度も読み返して、自分と重ね合わせて想像してみる。人間の好奇心に寄り添ってくれる動物たちは、ここでも優しかった。


原田祐馬

1979年大阪生まれ。UMA/design farm代表、どく社共同代表。名古屋芸術大学特別客員教授。大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指している。「ともに考え、ともにつくる」を大切に、対話と実験を繰り返すデザインを実践。著書に『One Day Esquisse:考える「視点」がみつかるデザインの教室』。愛犬の名前はワカメ。


◎原田祐馬さんとは南千里、香里ヶ丘にて散歩しながらの取材記事を公開しています。

→「色彩計画で団地が大変身 UMAの原田さん、西野さんと香里ヶ丘さんぽ」
 https://karigurashi.net/article/uma-1/ (2020年公開記事)
→「散歩と観察 around南千里駅~佐竹台~五月が丘 〈大阪・吹田市〉」
 https://karigurashi.net/ours/harada-1/ (2015年公開記事)

2022.02.07

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