『雑な生活』 
中憲人=著

『地球家族』 
マテリアルワールド・プロジェクト=著、近藤真里、杉山良男=翻訳

『僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ』 
中村一般=著

『団地ブック』 
チーム4.5畳=著・編

1『雑な生活』
「何かおすすめの漫画ある?」って聞かれたら答える本。生活が雑でぐうたらな「ゆう子」(会社員)と、生活が雑ではないしっかり者の「佐々木」(看護師)。それぞれ一人暮らしをする彼女達の、何でもない365日をめぐる短編漫画です。
二人の性格は、とにかく真逆。たとえば、掃除中に出てくる昔の服や謎のぬいぐるみとの向き合い方だったり。連休中の料理の仕方や冷蔵庫のキャベツとの向き合い方だったり。二人はいつも互いを通して発見を得ていて、それがユーモラスに混じり合ってる(たまにケンカもする)。
「一人暮らしのコツは、独りで暮らしすぎないこと」、それを学べた1冊。コメディ漫画なんだけど、私の中では、もはや実用書です。

2『地球家族』
何世代先までも教科書に載っててほしい本。戦禍のサラエボからモノがあふれる日本まで、世界30か国、いろんな家族の写真集です。でも、ただの家族写真じゃない。家にあるものが全部、家の前に出されて写ってる。タンスも車も、牛もティースプーンも。
それぞれの文化に美しさを感じつつも、課題も鋭く伝わってくる。ページを見開くごとに、ドキュメンタリー映画を観ているみたい。それもそのはず、写真家は各家族と1週間ほど共に暮らし、信頼関係を築いた上で、撮影と取材をしたんだとか。
本の後半にある統計データもよい。国の平均寿命や乳児死亡率、読み書き率や平均所得。家族の家計、大切なものと欲しいもの。セキュリティや避妊方法まで。1994年初版なので内容は古いものだけど、学ぶものは全く古くない。

この本を読んで、家を自分の「からだ」みたいに捉えて遊んだりもした。あのテーブルや椅子は骨かもしれない。あのベッドは肺かもしれない。脳や心臓はどこだろう。台所やお風呂はなんだろう。廊下が血管なら、ちょっと血流悪そうだな(笑)。そろそろ掃除をしないとな。家と健康具合って、すごく連動してるから、なるべく未来に残せるものを取り入れたい。

3『僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ』
Twitterで回ってきた、この本の数コマを見て、1分も経たないうちにポチっていた本。そして読み終わった今でも、いつも枕元に置いてる本。イラストレーター・漫画家である中村一般さんの、イラスト作品集です。
まちを歩く中で出会う、落とし物、植木鉢、飼い主を待つ犬。掲示板の貼り紙、高架下の落書き、2つ並んだコーヒーの空き缶。そこには「誰か」の体温がゆらゆらしてる。
「本を作る時、これを自分の遺書代わりにしようと思いながら作っています」。あとがきにある、中村さんの一言。ああ、自分もそうありたいな、と思った。まちの中で今日も繰り返される、いろんな生死。その狭間で、小さく何かがきらめく瞬間を見逃さないで、そっと遺していこう、と思った。

4『団地ブック』
小さな書店で出会って、「そうだよ! こういう本を探してたんだよ!」と思わずちっちゃく声に出てしまった本。公団住宅や公営住宅の、間取り、給水塔、植木、公園にある動物型の遊具など……それらの写真やデータを、とにかく細かく集め、取りまとめてあるマガジンです。

私が生まれ育ったのは、閑静な住宅街にある、マンションの7階。聞こえる音はいつも、テレビの音と母の声くらい。でも20代後半の頃、私は少しの間、公営住宅の1階に住んだ。紆余曲折を経て、他人のおかあチャンと二人暮らしという、なんとも不思議な借り暮らしだった。
そのとき新鮮だったのは、聞こえる音の、種類の多さ。誰かが自転車のスタンドを上げて出かける音、公園で待ち合わせする小学生の会話。いつも冷凍餃子がストックされた、古い冷蔵庫のモーター音。ゴミ収集車や廃品回収車のメロディも、閉めたときにしっかり響くドアの金属音も、私にとっては、妙に心地よかった。
そんな思い出が蘇るからか、表紙の写真を見ただけでゾクゾクした。買った直後は、王将に駆け込んで読んだ。餃子、それから瓶ビール。はあー、おかあチャンも元気だといいな。


しまだあや

note「小学1年生ぶりに、父の前で真っ裸になった話」や「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」が話題となり作家活動スタート。奈良にて、家の94%を10~20代に開放しながら暮らしつつ、新しい「うち」の在り方を実験中。


◎しまだあやさんには、1年間・53人で週替り日記をリレーした企画「みんなの日記」で、1週間の日記を公開いただきました。

2022.02.14

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