大阪芸術大学×URアートプロジェクト
2020~2021レポート後編
「いよいよ動き出したプロジェクト・Vlog制作に向けて」

2021.03.23

    前編「コロナ禍でアートプロジェクトを行う葛藤、そしてその意義」では、人との交流、フィールドワークなどの活動ができない中で、どのようにプロジェクトに向き合ってきたのかを大阪芸術大学芸術計画学科・学生リーダーの石川真由さん、総合ディレクターを務める芸術計画学科教授の谷悟先生に話していただきました。

    後編となる今回は、準備を進めているアートプロジェクトの今とこれからをご紹介します。


    まずはプロジェクト概要をご紹介します。

    プロジェクトが行われるのは泉南尾崎団地。すぐ目の前に大阪湾が広がる、関西エリアでも屈指の海を感じることができるロケーションです。
    そして、今回の制作手法として採用されたのがVlog。「映像版のブログ」とも言われ、凝った演出を排しながら、日記のように映像で描写していく手法です。

    UR泉南尾崎団地
    キーワードは「まち」「海」「アート」そして「あなた」。

    これまでのディスカッションの中で、芸術編・「芸術家のセカンドライフ」と題して、音楽家・陶芸家・詩人とのコラボレーションを行っていくシリーズと、日常編・「海辺での暮らし」として、料理、散歩、クラフト制作などの日常生活を表現するシリーズ、大きく2つの制作テーマが設定されました。

    2021年1月の終わり頃、プロジェクトのミーティングが行われるタイミングに合わせ、次のステップへと踏み出していくチームの状況を確かめるべく、大阪芸術大学・芸術計画学科の教室を訪れました。

    教室に入ると、目の前の大きな白板には泉南尾崎にまつわる様々なリサーチ結果がずらりと貼られていました。冒頭、学生リーダー・石川さんが、それらの情報を一つひとつ解説しながら、チームメンバー全体で街と団地のイメージ共有を図ります。

    白板には街の風景、地元の名産品や海の幸など、泉南尾崎の情報が集められていました。
    2020年・夏の尾崎港の様子(撮影:石川真由)

    次に日常編・「海辺での暮らし」を作っていくためのアイデア出しへと移行していきます。学生全員に付箋が配られて、思いついたアイデアを関連するリサーチ情報の近くへと貼り付けていきます。

    学生からは海風を可視化させるための仕掛けや、撮影してみたい構図、映像に登場する芸術作品のモチーフになりそうなものなど、様々なアイデアが出されました。

    それらを受けて、谷先生から「地産地消」というキーワードが見えてきたことや、クラフト制作をどのように広げ、展開させるのかをもっと考えるべきだ、という提案も。映像の中にとどまらないアイデアのあり方に、学生一同も大きく頷いていました。

    石川さんが採取した貝殻やシーグラス。映像作品ではどのような形になって登場するのか楽しみです。

    ミーティングでは、音楽制作でコラボレートする川越雄月さんの紹介も行われました。川越さんは大阪芸術大学音楽学科・音楽音響コースに在籍中です。

    ソロやバンドなど、多様な形態で個人活動も行っている川越さん。

    「これまでは自分の感じたことを曲にしてきた」という川越さん。第三者からテーマをもらって作曲するのは初めての経験だとして「新しいアプローチで曲作りができることに興味があります」と制作への意欲を語りました。「音楽学科はどちらかというと個人で作っていくことが多い。でも、ここではチーム制作なので、とても新鮮です」と話し、石川さんたち学生の様々なアイデアや、谷先生から出された泉南尾崎の音をサンプリングして作曲に活かすというプランに対して「できると思います!」と力強く答えていました。


    ミーティングの最後は、石川さんから泉南尾崎の海の美しさが改めて語られました。団地から海へ向かう時、堤防のふもとで一度海が見えなくなった後、階段の上で再び目に飛び込んでくる海の大きさに感動したこと、ぜひ全員に体験してほしい!と熱いメッセージが送られました。

    2020年・夏 尾崎の海

    谷先生からも「一刻も早くフィールドワークが実施できる状況になって、今日出てきたアイデアをそれぞれの身体で吟味して確信できる日が来てほしい」と、未来に期待を込めてミーティングが締めくくられました。

    今後は新型コロナウイルスの状況を見極めながら、フィールドワークに向けて引き続き準備が進められていきます。

    うちまちだんちでは、アートプロジェクトの動きをこれからもお伝えしてきます。

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    取材・文:うちまちだんち編集部 撮影:渡邉敬介(2021年1月取材)

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