
現場レポート
風を感じる街、堺でサイクリング イベントフォトレポート
2023.07.27
2023年5月28日、心地よい春風の吹く晴れの日。堺市とUR都市機構による初の「堺・泉北GO! GO! サイクリング・スタンプラリーイベント」が開催されました。5月1日から堺市のさまざまなショップと連動して行われてきたスタンプラリーの最終日。早朝からたくさんの自転車と人で賑わうUR泉北桃山台一丁からその様子を追いかけました。
団地や公園、各所で行われたイベントを写真でレポートします。
そもそもどうして“自転車”とUR?
〜UR泉北桃山台一丁にて〜



――― “サイクルシティ推進部”って聞き慣れないのですが。どうしてURとこのような企画を立ち上げられたのですか?
阪本さん:そうですね。日本でも珍しい部署ですね。堺市はもともと自転車産業が栄えた街なのです。ルーツは実は古墳築造にあります。さかのぼると1600 年ほど前になるのですが、百舌鳥古墳群の築造で培われた鍬などの鉄の加工技術が鉄砲や刃物の製造に引き継がれ、自転車産業につながっていったんです。また、鉄砲製造における分業化が量産化技術へとつながり、堺市の自転車産業発展の礎となりました。
こうした歴史的資産を後世に伝えることも私たちの使命だと思っています。
まずは自転車の存在を意識してもらいたい。そのきっかけとして”ミューラルアート(壁画)”を街に溶け込ませてみたいというところからスタートしました。
緑豊かで、壁画が実現できる場所としてUR の団地は最高のキャンパスとなりました。さらに、堺市では、健康や観光などの視点と掛け合わせ、自転車利用を促進する取組を推進しています。
それともう一つ。これは個人的な思い。自転車って、小・中学生くらいになると初めての移動手段になって、高校生になると通学手段になりますよね。もちろん手段も大切ですが、それだけではなく、もう一回自転車に乗れた時のあの頃の感動を思い出してほしい。自転車ではじまったあの移動の感動を味わってほしい。風を感じてほしい。
それが一番の気持ちですね。
植物と自転車、ミューラルアートの制作現場





―――ミューラルアートを手がけられることになって、UR団地はお二人にとってどのような場所、キャンパスでしたか。
Siiさん:私はプロデューサーとしてこのお話をいただいたときに、平田さんの作風がすぐに思い浮かびました。平田さんはその場の性質を大切にして、そこで捉えた空気を壁に落とし込んでくれる作家だからです。
ももポートは団地の中心地であり、真っ白だった壁に徐々に線が入っていくことで、最後のピースがはまった!という感覚がありました。

平田さん:昨日は朝10時から19時まで描いていました。次第に住人さんからは「がんばって! 明るくなって嬉しいわぁ」という言葉をいただけるようになってとても嬉しかったです。
色のことは私がとてもこだわっているところで、ここでは団地の建築そのもののアクセントに使われているアースカラーを採用したんです。住人さんから「ここは桃の木が多いからピンク色がちょっとでも入っていたら嬉しい」という声を事前にいただいていたので、その言葉を軸に全体的に爽やかな風を感じる草木を描くことに決めました。
最後に自転車も。堺の街を駆け巡って最後にみんなで集まれる場所を”みんなで作った”という気持ちですね。つむじ風のようにくるくるっと渦になって集まってもらえたらと。





いろんな自転車を味わう!
〜大蓮公園にて〜
少し日焼けするほどに快晴になった午後。さらに自転車を楽しめる仕掛けが用意された大蓮公園に向かいました。ここは泉北ニュータウン地域の中でも特に大きく緑豊かな国営公園です。





自転車いろいろ学べる青空教室
〜UR泉北竹城台二丁団地内広場にて








サイクリングチームで風を感じて
〜UR泉北竹城台二丁 → UR泉北桃山台一丁へ〜
本日のレポート最後は、実際のサイクリングです。URのサイクリングチームと、桃山学院教育大学の女子野球チームの皆さんに協力いただいた混成チーム。UR竹城台二丁からももポートのあるUR桃山台一丁までの約2.5kmの走行です。一体どんな風景が見れるのでしょうか。取材班は車で追いかけての撮影となりました。











―――お疲れ様でした!2.5kmの走行。アップダウンも何のそので、爽やかな表情で到着したみなさん。走ってみていかがでしたか?
今日はトレーニングだね!って話してました(笑)
道中に池があって、橋の上から下を見てみるとカメがいっぱい見えたんです。かわいかったぁ。公園の子供たちからは手を振ってもらえたりして嬉しかったです。
思った以上に自然がいっぱいに感じましたし、くだりになると風を感じて気持ちよかったです!

“風を感じて気持ちよかった”
この感想をサラッと言ってくれたとき、阪本さんの思いと壁のアート、そしてUR団地が一つの線で繋がったようでした。
ももポートを訪れられた方はぜひ、その風を少しでも感じてもらえたらいいなと思いながらこのレポートを終わりします。よく走った1日でした。
写真・文:平野愛