[HAT神戸シリーズ]

灘の浜のUR賃貸住宅

かつて神戸製鋼の工場だった土地に生まれたHAT神戸・灘の浜。

阪神淡路大震災をきっかけに開発されたここには、UR賃貸住宅、市営住宅、県営住宅に特別養護老人ホームなどが一体となって配置されながら、ひとつひとつの住棟は建築家を変えて、全員参加のデザイン会議を開催し、全体調整を図りながら設計されるというユニークな試みが実現しています。
工夫されたゆとりのある共用空間には、数々の兵庫ゆかりのアート作品も点在。

1998年の街びらきから22年。
HAT神戸・灘の浜にあるURエリア(1〜3番館、10〜13番館)を見てまわりました。

UR賃貸住宅 HAT神戸・灘の浜

兵庫・神戸
最寄り駅:阪神「岩屋」、JR「灘」
https://www.ur-net.go.jp/chintai/kansai/hyogo/80_4150.html

兵庫県立美術館の向こうに見える2棟は、灘の浜の象徴ともいえる1番館2番館。UR賃貸住宅でもきっての超高層の31階と33階建て。ちなみに、安藤忠雄建築として知られる兵庫県立美術館もHAT神戸に整備された施設のひとつで、こちらの開館は2002年。

真下から見上げた1番館2番館。角にヌキをつくったり、画一的にならないような色の塗り分けなども確認できる。設計は中島龍彦建築事務所 中島龍彦。
※2番館屋上からのレポート記事はこちらに→https://karigurashi.net/journal/hatkobe-okujo/

1番館、2番館とモールをはさんで向き合うのが13番館。「のこぎり屋根」になっているのは、神戸製鋼の工場デザインを継承したそう。

四隅での個性の出し方は1番館、2番館を少し意識して。

13番館の南側はテラスの庭と呼ばれる中庭に面している。13番館の設計は関西都市整備センター 川村眞次。

テラスの庭は東西100mの広さ。神戸製鋼の廃材を利用したプランターが使われ続けている。

テラスの庭をはさんで13番館と向き合う位置にあるのが12番館

南の道路側から見るとよくわかるが、12番館は腰折れ屋根によるリズム感のあるファサードになっている。設計は、南建築設計事務所 清水忠義。

奥に1番館2番館。左に13番館、右に12番館。それぞれに形が違っているが、妻面のデザインなどで統一感も保たれている。なお、手前の歩道橋は兵庫県立美術館へと直結。

灘の浜の南側を東西に抜ける幅40mの道路。歩道だけでも9m幅で、街路樹と植栽が車道からのクッションに。

2020年6月4日現在
ここであらためて団地配置図を確認。

12番館に平行して建つ11番館はL字型。頂上部はアール屋根。設計は、 環総合設計 堀江達。

こちらの10番館もL字型、北側は灘の浜モールに面して、南側はテラスの庭を囲むように建つ。

テラスの庭から見た10番館。設計は、環総合設計 堀江達(左の棟)と山設計工房 山田正司(右の棟)。

10番館の一部のバルコニーは外に張り出すようなつくりに。

10番館の北側は、アーチ型のデザインが特徴的。目の前が、灘の浜の中央を東西に抜けるオープンスペース=灘の浜モール。

灘の浜モールをずっと東側へ。通路がゆるやかに蛇行して、低めの植栽が特徴的。ぶどうの房のようにいたるところに広場や路地も設けられている。灘の浜のランドスケープデザインを担当したのは鳳コンサルタントの佐々木葉二。

10番館の北側、スーパー(グルメシティ)の入る建物と連結して、3番館が建つ。周りとの連続性と独自性を両立したようなデザイン。設計は、坂倉建築研究所 橋本健治。

灘の浜には美術作家によるエレメントも数多く見られ、こちらは榎忠による「バルブ号」「シード号」「ポーレン号」。榎忠といえば、鉄の廃材や機械部品を用いた立体作品で知られる兵庫在住の現代美術作家。

こちらは、市営住宅の8番館に見られる河口龍夫「未来」。こうしたアート計画を担ったのは、アートフロントギャラリーの北川フラム。いまや新潟で3年毎に行われる『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』でよく知られているが、HAT神戸への関わりはそれより前のこと。

※アート作品を学生たちと巡ったレポート記事も掲載しています。
フィールドワーク https://karigurashi.net/vidanchi/fieldwork04/
ディスカッション https://karigurashi.net/vidanchi/discussion04/

以上、灘の浜のUR賃貸住宅(1~3番館、10~13番館)でした。灘の浜には、市営住宅、県営住宅もあり、それぞれの建築家も異なっています。
4番館は、新美建築設計事務所 新美文孝、リブ建築設計事務所 山本一晃。5番館は、コー・プラン 奥井正造。6番館、7番館は、市浦都市開発建築コンサルタンツ 杉立利彦。8番館は、類設計室 仙元清嗣、山田建築工房 山田嘉朗。9番館は、遠藤剛正建築設計事務所 遠藤剛正がそれぞれの設計者です。

文・編集/竹内厚 撮影/林成光

近くのまちの団地
住まい情報へ