武庫川団地に「赤胴車」がやってきた!

関西屈指の大規模団地・武庫川。この夏に大きな芝生広場が誕生。そして本物の阪神電車の車両(赤胴車)がお目見えしました。

「赤胴車(あかどうしゃ)」とは、クリームと赤のツートーンで配色された阪神電車の愛称。1950年代末から阪神電車を代表するカラーリングとして親しまれてきました。(その名前の由来は、初登場時に人気を博した漫画キャラクター「赤胴鈴之助」にちなんでいます。)

そんな赤胴車も時代とともに新車両への置き換えが進み、2020年6月に阪神武庫川線を最後にその運行を終了します。そして、引退する車両のうち1両がUR都市機構と阪神電気鉄道が締結した包括連携協定によってURに譲渡され、新たなコミュニティスペースのシンボルとして再活用されることになりました。
車両は集会所として利用できるように改造、保存スペースには駅のホームを再現したピロティが設けられるなど、随所に細やかな工夫が凝らされています。 早速、写真とともにご紹介します。

武庫川団地のほぼ中央部、大きな歩道橋を渡っていくと中庭が見えてきます。歩道橋に沿って電車が置かれ、目の前には、段々畑をモチーフに緩やかな傾斜と段差がつけられた緑地が広がっていました。

建物から見た様子。31号棟から撮影。
大きく羽を広げたような屋根に守られています。
緩やかな段差が憩いのスペースを作り出しています。
ホームを再現したピロティ
車両の下には、実際のものを同じ線路も敷設するこだわりも。

ピロティ側は「ここは駅?!」と勘違いしてしまうほど。発車ベルが鳴ったら、そのまま走り出していきそうです。車両設置施設のデザイン・工事は、「阪神電気鉄道株式会社」のご協力のもと、UR都市機構のグループ会社である「日本総合住生活株式会社」が担当しました。

自動販売機も車両と同じカラーリングの特別仕様。
ラインアップには紙おむつも入っていました。
赤胴車、その中へ

車内は私たちがいつも乗っている電車と大きく変わらない雰囲気。ですが、実際には長期的な保存や集会所利用のために、1年以上の年月をかけた改造が行われています。
内装パネルなどの化粧直し、電気回路も改めて構築し直され、一般用コンセント、エアコン、送風機なども新設されています。子どもたちが安全に使えるような対策も随所に施されています。

車内は集会所利用者以外には開放されていないのですが、記者向けの特別公開時の写真からご紹介します。

車両が辿ってきた歴史

この7890号車は昭和49年に製造され、西大阪線(現在の阪神なんば線)で、客車(付随車)として走りました。1986年からは武庫川線へ移ります。この時にモーターやパンタグラフを備えた電動車へと大改造が施されています。そして2020年、阪神電車最後の赤胴車として、ここ武庫川団地にやってきました。

実はこの7890号車は、製造した武庫川車両工業が、現在の武庫川団地前駅近くにあった時代に生まれています。そのため今回の移設は「里帰り」とも言えます。

本物の改札機も

敷地内にある商業施設「メルカードむこがわ」の2Fには本物の自動改札機も設置されました。脇にあるモニターには車両移設のドキュメントが流れているので、こちらもぜひご覧ください。

オープニングセレモニー

2021年7月、設置を記念してオープニングセレモニーの様子です。武庫川団地各所でマルシェ、クイズラリー、ラジオ番組収録、子ども縁日、和太鼓演奏などが行われ、賑やかに赤胴車を出迎えました。

関係者代表によるテープカット。
お祭り広場にて行われた「ツヤマルシェ」。津山市の物産品が大集合しました。
地域のコミュニティスペースとして

地域イベントの活発な武庫川団地。この場所をきっかけに新たな広がりが期待されています。また、隣接している武庫川女子大学との連携企画なども検討が進んでいるようです。


赤胴車への行き方
赤丸部分。阪神武庫川線「武庫川団地前」駅からは、徒歩約13分
隣接する19号棟には「UR賃貸ショップ武庫川」も

文/松川祥広(編集部) 写真/助口優衣、松川祥広(2021年7月、8月取材)

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