
現場レポート
HAT神戸・灘の浜の改修工事前後を写真で比較
2023.03.20
UR都市機構では、1年を通して団地のメンテナンスや改修を進めています。このリニューアル・レポートでは改修工事を終えた団地の今をご紹介します。
今回紹介するのは、神戸市灘区にある「HAT神戸・灘の浜」です。
「HAT神戸・灘の浜」はひとつひとつの棟が、異なる建築家の手で設計され、全員参加の会議で全体調整を行うというユニークな手法で建築されました。竣工から23年あまりを経て、エントランスおよびエレベーターホールを中心にリニューアルが施されました。
オリジナルの意匠を受け継ぎながらも、現代的なアップデートが行われており、施工前後の写真を比較しながらご紹介いたします。
エントランス
エントランスは、アルミサッシの硬質なイメージや、ビビッドなカラーリングが施されていたものを黒と木調をベースにしたオーガニックな雰囲気へとリニューアル。住棟サインは白色のパネルを背面に追加し印象を強めています。10番館では商店街に近いことから埋没していましたが、新設されたデザインパネルにより存在感がはっきりとしました。







南側のエントランスも大幅にリニューアル。屋根の新設および住棟番号が記載されました。


住棟サインは劣化が目立っていましたが、塗り直しとともに継承されています。サインの形は住棟の屋根のデザインに対応しており、棟ごとに異なる形になっています。


エレベーターホール


エレベーターは扉が白色に変更され、注意事項もパネルにまとめられています。特に大きく変わったのは1番館と11番館。壁面のシートや間接照明によって明るく柔らかな空間に。全体的な照明の色温度も統一されています。11番館ではメールコーナーの移動に伴って腰壁も撤去され、開放感を高めています。





掲示板/メールコーナー
掲示板は注意事項の集約とサイズの大型化が行われました。棟によっては位置変更も行われています。メールコーナーは郵便受けは全面新しい筐体に取り替えられています。







13番館は掲示板枠として利用されていたものをパネルを設置し、メールコーナーの目隠しへと用途を変えています。


管理サービス事務所



2番館エントランス部にある管理サービスカウンターでは、木製ルーバーが設置され、温かみのある顔立ちに。




波型の腰掛け
11番館ピロティには木質の腰掛けが新設されました。憩いの空間が生まれるとともに、ピロティへの無断駐輪を抑制する機能も果たしています。



今回のリニューアルでは、棟ごとの違いを尊重しつつも、全体としての利便性や視認性を高めるというミッションに挑戦しています。「HAT神戸・灘の浜」を訪れる際は、建築の競演を楽しみつつも、そんな部分にもぜひ注目してご覧ください。
「HAT灘の浜」は阪神本線「阪神岩屋」駅からおよそ徒歩5分です。


改修設計/株式会社ジャス
文/助口優衣・松川祥広 写真/助口優衣 ※改修前の写真はUR都市機構提供