団地集会所を訪ねて
Vol.1「武庫川団地」

このサイトでは「うち」「まち」「だんち」を横断しながら取材を続けています。

団地集会所を改めて見直してみると、「うち」と「だんち」の接点でありながら、「だんち」と「まち」の接点にもなっています。香里ヶ丘西団地の住まいを見せてくださった秀子さんも「私にとっては、集会所が”まち”」だと言っておられたことを思い出します。
これまでにも数々の団地集会所を訪れてきましたが、イベントや取材時の待機所としてなど、あくまで所用のため。「集会所そのものを見に行く」という気持ちで訪れたなら、何が見えてくるのか? そんな考えが膨らんでいきました。


関西各地の集会所の中には、設備をグレードアップしたところや建物としてユニークなところなど、様々なものがありますが、最初に選んだのは武庫川団地。
総戸数5000を超える巨大団地なので、団地集会所の設置数もトップクラス。一気に巡ることで、見えてくるものがあるかもしれない、そんな理由です。

「厳しい寒さになるでしょう」という天気予報そのままに、キリッと冷え込んだ朝。阪神武庫川線に揺られて団地へと向かいました。

団地に隣接する場所に、新たなショッピングモールが建設中でした。
武庫川団地は過去にも色々な形で取材しています。記事はこちらからどうぞ。
集会所を巡る

管理サービス事務所を訪問し、鍵をお借りします。武庫川団地には全部で6つの集会所が敷地内に点在していますが、そのうち5つを巡って、目に止まった風景をご紹介。

「集まり」の痕跡を探す

どの集会所もすっきりと整理整頓されていて、利用者を静かに待っていました。誰もいない空っぽの集会所を巡っていくと、不思議と、かすかに残る人々の「集まり」の痕跡に目が向くようになっていきます。息づかいのようなものを探してしまうのは、人の性、なのかもしれません。

いつかまた活躍する日をじっと待っているコップ群。
傘のカラフルさが、ちょっとだけうれしい気持ちにさせてくれます。
床をよく見てみると…何かが貼ってある。
かわいいシール。机などの位置を再現するためのものではないかと推理。
ホワイトボードに残された「寿限無」。もちろん声に出して読みました。
使い込まれたクレヨン。

探訪を終えて、鍵の返却のために再び管理サービス事務所へ。そこで、集会所の利用状況について聞いてみました。こちらの団地では、メインの利用者は高齢者と子どもたち、なのだそう。新型コロナウイルス流行前は健康体操や書道教室、キッズサークルでの利用が多かったとのこと。(集会所で見かけた、元気すぎる子どもたちへ向けた注意書きは、そういう理由だったのか。)2020年~21年は緊急事態宣言に合わせた利用停止なども含め、現場としても状況を注視しながら貸し出しを進めているとのこと。

新型コロナウイルスが猛威を振るうようになって、私たちは「集まる」ということを、しばし我慢しなくてはいけなくなってしまいました。「集まれることって大事なことだったんだ」と気づいてしまっただけに、脅威が去ったあとには、面白そうな集まりが雨後のたけのこのように生まれてくるはず。それまであと少し頑張るぞ、と決意新たに団地をあとにしました。

☆取材後の昼ごはん

団地内「メルカードむこがわ」にあるインド・ネパール料理「ファミリー・キッチン」にて。Cセット990円。おかわり用に小さなナンがあるのが嬉しい。

文/松川祥広(編集部) 写真/渡邉敬介(2021年1月取材)

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