
現場レポート
移動式あそび場が、団地にやってきた!
2023.04.21
冬の終わりが見えてきた2月半ば、 奈良学園前・鶴舞団地に「移動式あそび場」がやってくると聞いて、実際に見に行ってみました。想像以上に深かった移動式のあそび場とその哲学。フォトレポートでお伝えします。

プロデュースしているのは「移動式あそび場全国ネットワーク」。今回は代表である星野さんのプレイカーと、関西初の移動式あそび場をスタートした「NPO法人北摂こども文化協会」からプレイカーがやってきました。


プレイカーとは見ての通り、遊びアイテムを搭載した車のこと。全国を駆け巡る星野さんのバンは車内に入り切らないほど。星野さんの指導のもと、何もない広場に遊びグッズを展開していきます。
あそび場を作る
設置の様子を早回しで撮影。


どうすれば自然と子どもたちを引き付けることができるか、場作りのノウハウや哲学を聞きながら準備を進めます。星野さんの話がこれまた面白い。
遊び場オープン
1時間ほどで遊び場ができていきました。中央に大きな「コリント」と呼ばれる玉を転がして遊ぶおもちゃが完成。ここを中心に楽器遊び、積み木、トランポリンなど様々な遊びが配置。この頃には小雨も交じる天候になりつつも、周辺から多くの親子連れがやってきて、一気に広場は賑わいを見せます。






星野さんにお話を聞きました。
ーーー活動を始めたきっかけは?
星野:1990年代の後半に大学生で東京に出てきて、地元の遊び環境のちがいに衝撃を受けて。公園でも「アレだめコレだめ」と。ならば、と2001年から遊び場を作る活動を始めていくうちに2008年に「移動式あそび場」へと発展していきました。
ーーー移動式あそび場の良さとは?
星野:自分の子が公園で別の子のおもちゃで遊んでいたら、親が「やめなさい」って止めることも多いですよね。でも自由に遊べるものがあれば、一緒に遊んだり、親同士の交流も生まれてくる。
また「シニア世代と子どもたちの交流を」と言ってみても、シニアを公園に呼んでくるのは難しい。移動式なら商店街だったり街の広場だったり、老人たちが普段過ごす場所に遊び場が作れるんです。すると、自然とそこに交流のきっかけが生まれてきますよね。ヨコ方向もタテ方向にもどちらの関係作りにもパワフルに貢献できるアイデアなんです。


ーーー今回は団地での開催となりました。
星野:遊びはいろんなものとコラボできるのも良いんです。環境教育、マルシェ、ワークショップなど、組み合わせ次第でいろんなことと一緒にできる。
防災倉庫に地域で使える遊び道具を入れておくというアイデアもあります。倉庫を日常的に使うことでローリングストックを促進したり、防災訓練などにつなげていったり。可能性はまだまだあると思います。

星野さんの話を聞いていると、想像以上のポテンシャルに驚くばかり。ドイツはこの世界では50年近くの歴史をもつ先進国らしく、すでに様々な社会課題を「遊び」の力で変えてきているのだとか。星野さんたち「移動式あそび場全国ネットワーク」とも2年に1度ぐらいのペースで交流を行っているのだそう。
参加者にお話を聞いてみると「親同士で気軽に交流できる機会が少ないので、こういうイベントがもっとあれば」「団地はやっぱり子どもを安心して遊ばせられるのがいいですね」という声も。

雨がすこし強まったので、予定より少し早めにクローズ。それでも100名以上の来場者が参加し、思い思いの遊びを楽しんだ一日になった模様。
今後開催される遊び場の開催情報などはホームページでチェックしてみてください。
近くの街で開催されるときは、ぜひ。
移動式あそび場全国ネットワーク https://mpn-japan.com/

取材・撮影・文/松川祥広(うちまちだんち編集部)