2018年10月28日|奈良・紀寺は夜景も◎

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とある秋の夜長、「奈良・紀寺団地」に潜入。
「奈良」と「団地」。一般的なイメージを前提に考えてみると、歴史も文化も異なり、一見、親和性の低い2つの言葉ですが、字面だけでは分からない2つの要素の調和、そして奈良らしい古都の風流がそこにはありました。

まずは団地銘板。ゴシック体や明朝体を用いる団地の多い中、この書体の渋いこと。楷書体が生む風格も、この地だからこそ似合います。

各住棟の1階には、万葉集の歌をあしらった装飾が。当時のスーパーエリートだった奈良貴族たちも、まさか自分の恋文が1,300年の時を経て他人の家の玄関口に飾られることになるとは思いも寄らなかったでしょうね。

そして建物は、奈良の街並みに調和するような設計に。屋根は切妻造、日本瓦風の素材で葺いているように見えました。ファサードは現代的な集合住宅そのものですが、外壁の色や装飾から、どことなく伝統的な日本家屋の雰囲気を感じさせます。棟の妻側(端側)は土蔵を思わせる見た目ですね。人々を導くように築いた塀は、漆喰塗りの土塀のようにも。

そして、「灯り」こそ、夜ならではの風景。家々の窓の灯りが、コンクリート造りの人工物であるにも関わらず不思議と情緒を感じさせる。階段やエントランスから淡くこぼれる光にも、さりげない品のよさがありました。

結論:「奈良・紀寺団地」は宵こそよかりけり(詠嘆)
 
昼間に団地を訪れると、どうしてもコンクリートの外壁やマンションらしい構造が目についてしまいそうですが、夜に行ったからこそそういった要素が視覚的に軽減され、特徴を捉えやすくなったのかもしれません。
夜の団地見学、おすすめです。
 
奈良・紀寺団地
https://www.ur-net.go.jp/chintai/kansai/nara/80_4920.html

#キョウノサエグサ


*#キョウノ◯◯では、OURS.編集部/UR都市機構職員による「カリグラシ」な出会いをお伝えします。

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