給水塔の形ランキング

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「チーム4.5畳」のメンバーで、団地の給水塔が好きな人たちのための集まり「日本給水党」党首のUCです。

現代は、給水塔不遇の時代。しかし、給水塔には単調になりがちな団地景観のアクセントとしての役割もあり、そのデザインにはさまざまな工夫が凝らされています。そこで今回は、給水塔の「形」に着目して、ランキング形式でその魅力を紹介していきます。

え、給水塔が何のためにあるのかって? それは、重力による水圧で各家庭に水を供給するためですよ。屋上に給水タンクを載せた団地やマンションもありますが、大規模な団地では各棟ごとにタンクを載せていては管理が大変なため、一度に多くの住棟に水を供給できる給水塔が建てられることが多くありました。ただし近年は、給水塔を用いずとも水圧が得られるため、団地内に給水塔は残っているけど実際には使っていなかったりして、取り壊されたりしています。もちろん、新築の団地に給水塔が建てられることはありません。

こんな魅力的なものが注目もされずに姿を消していくなんてもったいない!
なお、以下に登場する「○○型」という呼称は、僕が勝手にそう名づけているだけです。

ボックス型

角張った、細長い箱のような形の給水塔。日本全国に広く分布するポピュラーな形状で、URの団地の給水塔もほとんどはこの形。平面で構成されていることを生かして、文字やイラストが描かれていることも多いです。

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UR鈴蘭台第1団地・兵庫

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UR浜甲子園団地・兵庫

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UR星の原団地・福岡

  • 団地名が書かれたボックス型は、とてもわかりやすい目印になりますよね!
  • 団地に興味無かったとき、立体駐車場だと思っていました。すいません。
  • 最上部の形状が風切り羽のようにエッジの利いた感じになってたり、ディテールを意識するとスタイリッシュに見えてきますね。
  • シンプルな形だからこそ、配色や小窓の数などで個性が出ていますね~。

むき出し型

文字どおり、タンクや配管がむき出しになったタイプの給水塔。そのシンプルな形状は、「ここから団地に水が供給されている」という実感を与えてくれます。

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県営住吉台団地・兵庫

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URひばりが丘団地・東京

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県営鶴ヶ峰団地・神奈川

  • 骨組みを見ているだけで楽しい。壊しやすいから、一番なくなっている形のような気がします。見つけたら貴重だと思います。
  • タンクの形と足の作り方にオリジナリティがでるね。重量感あるコンクリートが並ぶ中に、メカメカしくも軽快にすっくと立ち上がる姿がすがすがしい。
  • 兵庫県下でよく見かける形ですね。タンクや台座の鉄骨にも色々バリエーションがあって面白いです。

とっくり型

お酒を入れる容器である「とっくり」に似た、くびれのある形状が特徴の給水塔。優美なシルエットを持つとっくり型給水塔は、まさに団地の華。日本各地にありますが、大阪で特によく見られます。

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府住宅供給公社星田団地・大阪

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府住宅供給公社金岡東B団地・大阪

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UR観月橋団地・京都

  • この形は僕の原風景の一つ。子供の頃に身近にあった印象的なオブジェクトって、その特徴自体が様々な記憶を呼び覚ますスイッチになり得ると思います。
  • キングオブ給水塔にふさわしいこの美しさ、下から伸びるどっしり感もまた壮観です!
  • たしかに大阪へ来てから、よく見かけた気がします。愛知は給水塔自体が少なかったなぁ。

フエラムネ型

頂部のタンクが駄菓子の「フエラムネ」のような形をした特異な給水塔。過去、東京都営住宅においていくつか建てられましたが、足立区にある現存唯一の給水塔が現在解体中。まもなく幻の存在になろうとしています。

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都営上沼田アパート・東京

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頂部アップ

  • 何、この近未来感! なぜ穴が空いているのか意味不明なのがそそられる。

  • 穴のあいたタンク部分も個性的ですけど、それを支える部分の造形が美しいですね。

  • なんかトロフィーみたいな形に見えますね。この上に水が入っている、まさに賜杯型と申しましょうか。たまりませんね。

お花見の季節が近づいてきた次回は、チーム4.5畳メンバーによる「桜の美しい団地」紹介です。

「団地をARTに」を合言葉に日々、啓蒙活動を行っている団地愛好家集団。


“URソムリエ”として、関西バンドマン150人以上をUR団地暮らし(主に市街地住宅)にアテンド。「団地は日本の原風景だ!」を合言葉に団地カルチャーの素晴らしさを世の中に発信中。
2008年、日本給水党を結党。以来党首として日本全国の団地を取材し、「団地の給水塔」の魅力発信と地位向上を目指し活動している。
ツインコリダー型住棟をメインに愛でる団地愛好家。団地をモチーフとした楽曲で郷愁とイマジネーションを刺激するポップユニット「D+」のギターボーカルとしても活動中。
団地にとりつかれた建築家。設計事務所吉永建築デザインスタジオで団地リノベーションの設計を手がけるとともに、「団地不動産」にて団地の不動産仲介も行う。
岡山県の団地を内外に紹介している団地拝見家。団地お守り「団地守」の生みの親。
古めの団地と、団地内の植栽を愛好する大阪出身の平凡な会社員(非建築系)。団地を求めて各地を旅し、最近は台湾の団地にハマっている。
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウン出身。現在4軒目のURで団地生活を楽しむ、自称・団地サラブレッド。「名古屋の団地女子」として、団地の公園にある動物遊具に夢中。

Journal D

UR職員が団地内のいろんなお店を訪ねた「グルメD」。団地愛好家集団“チーム4.5畳”による、団地のイロハをゆかいに伝える連載「週刊4.5畳」など、さまざまな角度からダンチに迫ります。

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