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永野宗典×諏訪雅(ヨーロッパ企画)
とヨーロッパハウスの話

#3 拠点はハウスの他にもまだまだ

#1 はこちら
#2 はこちら

劇団の活動にあたって、場所の力は感じますか。

永野:京都で生活している大きな理由は、そこだと思います。上田家から相当な恩恵を受けながら、ヨーロッパハウスがアトリエとして機能しているので。

諏訪:ヨーロッパハウスの中にはいろんな場所があるから、夜中に思いついたらハウス内で映像を撮影して、翌朝みんなで上映会をする。そういう遊びを昔からよくやってました。

永野:その遊びが今の「ショートショートムービー フェスティバル」という映画祭イベントにまで発展してますね。

諏訪:で、わりと今、映像の仕事もやっている。遊びからすべてが繋がっていますね。

永野:同じ敷地内に複数のスペースあるので、気持ちを切り替えるのにも便利です。

20年近くいるとなると、本などの資料が増える一方だと思うのですが。

諏訪:上田君の仕事部屋として、ヨーロッパハウスとは別に他にもう一軒、「永野荘」というのがあるんです。

永野:僕が部屋を探していた時期に、上田君から「書斎を探しているので、一緒にどうですか?」と誘われて。面白いなと思って、2階建ての町家をふたりで借りました。その1階は上田君の資料や本とかがダーッと並んでいる書斎で、みんな集まってのシナリオ会議はそこでやったりします。当時は2階が僕の住居だったので「永野荘」、今は別の劇団の若い子が住んでます。ヨーロッパのDVD在庫もそっちに置いてますね。

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壁面の本棚が特徴的な永野荘/ヨーロッパ企画提供写真より

「住む」とか「場」に関して、すごく柔軟ですよね。

永野:京都は、家賃が安いというのも大きいんじゃないかな。その「永野荘」の前にも、ヨーロッパハウスのすぐ近くにある「前川荘」という、僕が学生時代から10年くらい下宿していた場所があるんですけど、そこは諏訪さんも住んでいました。今の「前川荘」には、うちのスタッフや、「男肉 du Soleil」とかの京都の別の劇団の子たちが住んでいます。大家さんに「知ってる子の方が安心やから」と紹介を頼まれるので、わりと演劇系のトキワ荘みたいになっています。

諏訪:京都は学生が生活しやすい町でもあるので。

永野:東京の人には家賃でびっくりされます。自転車で行き来しやすい環境ですしね。

ヨーロッパハウスあってのヨーロッパ企画だ。

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ヨーロッパハウスの初代掃除長にして、永野荘の仕掛け人でもある永野さん

永野:そうですね、衣食住を担ってもらっていた時期もあったので。

諏訪:バイトもせずに劇団の活動に専念できたのは、この場所があったお陰。

永野:劇団の過渡期って、どうしてもそんなにお金は稼げないけど、バイトができないぐらい仕事に追われることが多くて。そんな時期もわりと直線的にやって来れたのは、ヨーロッパハウスという場所のサポートがあったからだと思います。西村(直子)さんとかも一時期ここに住んでいましたから。「旧2階」にちょうど布団を1組だけ敷けるカプセルホテルみたいなスペースがあったんですよ。

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旧2階にはゲームもたっぷり常備

下宿的にも機能していたんですね、

永野:おっちゃんのバレーボール仲間とか、上田君の友達とか、もともと人が集まる家だったらしいですよ。そういうのが良いという考えなんでしょうね、おっちゃんの人柄です。

諏訪:おばちゃんも、人が来たときに過度にもてなさない。「ジュースそこにあるよ」ぐらいの距離感で、それがとても居心地がいい。遊びにいって友達のお母さんからものすごく丁寧に挨拶とかされると、次になかなか行きにくいですよね。それが(上田家では)毎日でも来れる環境を作ってくれた!

永野:たまに「あっ! ここ、自分ちじゃなくてひとの家やった」って、話しながら気づいて自分でツッコミを入れるときがあります(笑)。

確かに今までお話を聞いていても、ときどき我が家感が顔をのぞかせることが…。

諏訪:年始に大掃除をしたときに、僕がもらってきた色紙を飾ってたら上田君が捨てようとしたことがありました。「思い出やから、置いといてや」と頼むと、「俺関係ないし。(ここ)俺ん家やし」となって、それもそうだなと。自分の思い出は、持ち帰るべきだよなと(笑)。

永野:僕が掃除長に立候補したって話をしましたけど、実はペットボトルの飲みさしが一番多い人って上田君なんですよ。だから、掃除長として注意しても、「俺ん家やし」を出されたら、通用しない(笑)。

諏訪:たまにそれ使うよね(笑)。

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色紙を捨てられそうになった諏訪さん

(笑)。プライベートがないってことはありませんか。

諏訪:そこまでしょっちゅうは会わないですよ。ヨーロッパハウスの近所に「チロル」という喫茶店があって、そこでの方が顔を合わせるかも。誰かがそこで打ち合わせしたり、執筆したり、ご飯たべたりしてるので。

永野:そう考えると、ヨーロッパハウスは喫茶店にまで侵食拡大してましたね。

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今回の取材場所となったヨーロッパハウス「はなれ」、2007年の様子 [画像クリックで拡大]

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2007年、旧2階の雰囲気もまだ部室感あり/以上2点、「ヨロッパ通信 第4号」より [画像クリックで拡大]

*ヨーロッパ企画
本公演以外にもさまざまなイベント、企画が目白押し!
http://www.europe-kikaku.com/

京都・二条駅から歩いていける喫茶「チロル」もすてきな店なので、読者のみなさんもぜひ。次回、諏訪さんの今年のささやかな目標にも注目です。
#4 団地とヨーロッパ企画。そして2016年


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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