4.滋賀の富田酒蔵で選んだのは

この連載では、勝手におもたせ企画として手みやげを持参するようにしている。
何を持っていくのかかなり悩んだけれど、ちょうど伺う日の数日前に滋賀に行く用があったので、そこで買うものを見つけようと考えた。
ただ、ものを渡すだけではなく、ちょっとした滋賀の話もできればと。

その日はこの冬、最も冷え込むと言われた日。雪深い木之本まで足を運び、富田酒蔵へ。
年末年始に使えるかもと酒粕、そして、ちょうど新米の時期、この時期だけの搾りたての純米酒を選んだ。

「酒粕!ツルッとしているものより、ぼこぼこしている方が好き」という久保さんの反応を聞いて、ほっと一安心。

余談だけれど、久保さんの家には、向こう10年分くらいの黒糖がある。
すべてもらい物だそうだ。
ほかにも塩、はちみつなどは特によくもらうらしい。こうして久保さんのところに食材や食べ物が集まるのは、親しい人は久保さんの食いしん坊を知っているからにほかならない。
そして、何より、久保さんは振る舞い上手で貰い上手なのだとも思う。

ここ数年、新米の時期に、久保さんの実家でとれたお米と野菜を使った料理を味わう「新米会」に寄せてもらっているのだが、そこにみなさんの持ち寄りで食べ物が集まる。
振る舞われて、持ち寄って。そうすることでお互い気持ちよく、その時間を過ごせている気がする。そういうちょっとした機会が、久保さんにまた何かお返しをと言う気持ちにさせる。
そうして、また黒糖がたまっていくのかな。

自家製から購入したものまで、保存食が主に置かれているストック。以前、久保さんにおふくろの味をお聞きしたとき、自家製のかぶらの酢漬けと言っていたことをここをみて思い出した。

5.おばあちゃんになるくらいまで、ここにいようへつづく

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THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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