書店員、フリーライターを経たのち2015年漫画家のしろうべえと結婚、京都太秦にある家族経営の出版社しろうべえ書房の一員に。2歳になる娘を育てながら日々のつれづれを書いています。
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8月9日

今日は夫の祖母の命日。2年前、寝たきりの祖母がひっそりと息を引きとっていたのを夫とヘルパーさんと見つけたあと、外へ出ると夕暮れで、妙心寺からお精霊迎えの御詠歌がきこえてきた。ああ、ご先祖様がお迎えにきてくれたんだ、と思った。祖母と入れかわるかのように、まもなく娘が生まれて、祖母の介護ベッドがあった場所にはベビーベッドが置かれた。
あのときと同じように、夕日の中を御詠歌をききながら、娘を連れて妙心寺へいく。出店が並び、子どもたちでにぎわう境内。法堂では、着物と袈裟をまとったおばあさんが8人、きちんと正座して鉦を鳴らしながらえんえんと御詠歌を唱えている。なにかに憑かれたような、幽明のあわいをたゆたうような姿。祖母がいってしまった場所から、娘はやってきて、私もいつかそこへいく。この世が仮そめだとしても、いまここに生きていられる時間はなんて幸せなんだろう。
帰ってから、夫の両親が買ってきてくれたお寿司を食べて、家族だけで祖母の三回忌をする。

8月10日

朝ごはんのあと、一休みしてから娘に水着を着せて、家の前で水遊びをする。ホースで水をかけてやると大はしゃぎ。「ジャー」といいながらいつまでもかけてもらいたがる。ついでに鉢植えに水やり。去年の夏、壁を盛大に覆っていたつるむらさきが今年は全然育たなかった。かわりにヘデラとテイカカヅラが勢力を伸ばしている。しだれ梅、トネリコ、月桂樹、侘助、オガタマの木は、鉢植えながらささやかな木陰をつくるほどになっている。コンクリート張りの元ガレージもずいぶん庭らしくなってきた。
日ざしはまだまだ強いけれど、空の青さと高さはもう秋の気配。うるさいほどしていた蝉の声も、ここ数日でめっきり減った。
午後、恵文社一乗寺店へ納品。ここの保育社カラーブックスコーナーを物色するのが楽しい。盆栽、蕎麦、錦鯉、鉄道の本を買う。うちにもカラーブックス専用棚を作ろう、と夫と話す。

8月11日

二条駅前にある狂言屋の定例イベント「古本イエー」にはじめて参加する。ふだんは住居兼古書店として営業している狂言屋に、出店者が本を持ち寄って一箱古本市を開くイベントと聞いていたが、訪ねてみると予想以上にふつうの家だった。出店者も客も、廊下のようなところに座りこんで和気あいあいとおしゃべりしている感じが親戚の集まりみたい。閉店まではまだ間があったが、すでに奥のリビングでは宴会がはじまっている模様だ。
狂言屋には落語関係の本がそろっていて、夫は大興奮。私も気になる本をたくさん見つけた。自分たちの本棚に似た本棚の主とは仲良くなれそうな気がする。
結局、10冊近く買ってしまった。私たちも宴会によばれ、ビールと手羽カレーをごちそうになる。はじめは緊張気味だった娘もみんなに歓迎されてごきげんになり、台所を探検したりスナック菓子を袋ごと奪ったりと、自由奔放にふるまいだす。
読みたい本があって、子どもも連れてこられて、おまけに落語の話もできる、こんないいお店が近くにあるのを知らなかった。

2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。

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