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心斎橋アセンスで書店員、主に文芸を担当していました。現在、その次の場所を探し放蕩中。

11月4日

小山田浩子さんのトークイベントを聴きに、文学バー・リズールへ。成り行きで受付の手伝いをすることになり、その間吉村萬壱さんと小説についてや、僕の今後についての話を聞いてもらう。受付の都合でイベントは途中から参加。創作の源泉から、“お好み焼き”についてまで、とても面白かった。アセンスの名前も何度か出していただけたことが有難く嬉しかった。以前贈ったピアソン『甘美なる来世へ』を今読んでいると言っていたことも嬉しい。
その後の打ちあげでは、小山田さんのお子さんの底なしにも思えるパワーを間近に浴びたことで、居合わせた皆が無邪気に笑っていた。彼女から何度も繰り出されたもみじまんじゅうの響きがその後もしばらく頭の中にリフレインする。帰り道では江南亜美子さんとお話しながら歩く。今日は本当に沢山の人の協力で、色々なことが出来たことを改めて実感する一日だった。

11月5日

アセンスの店舗が閉まったことで、これまで忙しくしていたことが急になくなり宙に放り出されたようで心が落ち着かない日々が続く。けれど余裕のある時間もそう持てないから、少なくとも今週はゆっくりすることに。自宅で一番好きな部屋は一方の壁に本棚が並んであり、向かい合うようにソファがある。左を向けば風にそよぐカーテン越しに差し込む朝の光を横目に見ながら、楽しみにしていた『ガルシア=マルケス、東欧を行く。』を手に取る。まだ作家として知られる前のガルシア=マルケスが当時の東欧の深刻な状況を真摯に見つめ、描いたルポタージュ。少し読み進めるも何となく集中出来ずにいて、買い物がてら場所を変えることに。入ったカフェには植物が溢れ、店内では開いた頁にも葉の影がうっすらと映って心地よかった。

11月6日

乾き切っていなかった洗濯物を出しっぱなしにしていたら雨に打たれよりずぶ濡れになっていた。取り込む気にもなれず、そのままに。夜はLVDB BOOKSで開かれる桂二葉さんの落語会「大阪の野蛮」へ。演目は「牛ほめ」と「仔猫」の二席。どちらも長屋を改修した店内に作られたシンプルな高座がきりっとしていてまず良かった。落語も丁寧で、場も温かく存分に楽しんだ。次回開催が待ち遠しい。帰り際に上林さんに「イベントしましょうよ」と言われ、返答に困ってしまう。どこまで本気なのだろうか。

11月7日

Joji『BALLADS 1』をループ再生しながら(最近の気分に何となく合っている)、自分と街の本屋について、依頼された文章を考える。7年の書店員の経験しかない僕が言えることなんてほんの少ししかないけれど、せめて自分が納得できることを書きたい。けど何を? 気付いたら、リビングの窓から見える隣家の低木に止まった鳥に見入ってしまっている。カーテン代わりの布も鳥柄で、風に揺られながらたくさんの鳥が羽ばたいている。可愛い。いつになったら書きあがるのか、〆切に間に合うのか、先が見えない。

2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。

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