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  • 週替わり みんなの日記 野澤 美希さん(某研究機関の助手、アーツリサーチャー(見習い中))~前編~

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1994年横浜生まれ。芸術文化の周縁を調べて考える人。まだ見習い中なのでリサーチャーというよりウォッチャー。今は京阪神を行き来しながら某研究機関と某文化施設で修行中。オーケストラと、アイドルと、こけしが大好き。

2月17日

朝、目が覚めると、寝ている布団の隣には大量の資料と洗濯物で溢れかえったキャリーケースが横たわっている。昨日まで4泊5日の出張で、「国際舞台芸術ミーティング in 横浜(TPAM)」に参加するために横浜に行っていた。とりあえず片付け始めようと思って布団から起き上がる。この3年間ぐらいで随分と旅慣れて荷物が減ったからか、荷造りも荷解きもあっという間に済ませられるようになったなあ。
午後から神戸の方の仕事。行きの阪急電車の車内で、関ジャニ∞が歌う『大阪ロマネスク』を聴く。「かけだした君の背中が消えた梅田駅」の歌詞で阪急梅田駅のプラットフォームの情景が鮮明に思い浮かぶ。生まれ故郷の横浜は「帰るところ」から「行くところ」へ、移住先の京都や大阪は「行くところ」から「帰るところ」へ。自分の居場所が移り変わっていくことは、案外、結構楽しいことだと思う。

2月18日

朝起きたら熱が38.4度あった。夕方には37.2度まで下がったのでさらに寝る。そういえば突発的に発熱したことが去年の10月にもあって、その時は39.8度まで出たからそれに比べたら今回は全くもって大丈夫な気がしてきた。19時ぐらいにまた起きて36.7度だったので、河原町三条まで自転車で移動。UNIQLOで5990円のウルトラライトダウンと1290円の超極暖ヒートテックタイツを買って、業務スーパーで冷凍のエビ水餃子を買って帰宅。Googleマップのルート案内で乗り換えを調べて、阪急大宮駅から大阪空港駅まで60分もかかるのかあ! と思いながら、荷造りをする。結局、冷凍エビ水餃子は食べなかった。自分の体調に振り回されるのはしんどいけれど、人体実験を自分でして、それを観察しているみたいでちょっと面白い、なんて思ってみるけど、やっぱりしんどい。明日から秋田に行く。

2月19日

9:30に伊丹空港で待ち合わせ。秋田行きのチケットは2ヵ月以上前から予約してあった。鳥取の「たみ」で働いているゆきちと一緒に、秋田公立美術大学の大学院に進学したゆうちに会いに行く。ゆうちも、ゆきちも、大学時代の同期生だ。でも、在学中は一緒に旅行に行くなんてことを考えもしないような距離感だった。卒業して、それぞれの道を選んでいく中で、興味を持つものが似ていたり、突き詰めたいものが近かったりすると、知らず知らずのうちに、繋がっていた気がする。友達は意図して作るものではなく、知らないうちに出来るものなんだなああ、なんてことを、この2人との関係性の中で改めて感じている。
さて、秋田に着いてゆうちと再会する。ほぼ1年ぶり。元気そう。ランチは、比内地鶏入りのつけ汁で稲庭うどんを食べた。秋田公立美術大学の卒業展、修了展を一通り見た後、夕方から焼き鳥屋さんで比内地鶏をたらふく食べた。その後時間がぽっかり空いたので、なぜか郊外にあるROUND1に行った。セグウェイに乗り、反復横跳びをして、テニスをして、パターゴルフとカラオケもした。いくつになっても旅先でのノリと勢いは大切にしたい。多分明日は筋肉痛で目が覚める、はず。

2月20日

秋田2日目。ちょっと遅めに起床。ゆきちと一緒に秋田県立美術館に行って、ずっと見たかった藤田嗣治作「秋田の行事」を初めて鑑賞する。芸術大学を卒業して学芸員資格まで取ったというのに、お気に入りの美術作品というものがかなり少ないのだけれど、この「秋田の行事」は、以前テレビ番組で紹介されていて、なぜか強く惹かれて、もうずっと見てみたくて仕方なかった。だからまず展示室に入って、作品の内容に感動するというより「ずっと見たかったものを見られた」という高揚感でいっぱいになった。
「秋田の行事」は、縦が約3.7m、横が約20.5mにもなる巨大な油彩画作品である。実際に見ると、その大きさがどれほどの迫力かを身をもって感じることが出来た。その巨大な画面の中には、ほぼ等身大で人や犬が秋田の祭りに興ずる様子が描写されていて、藤田が「秋田の行事」を描いた当時の秋田に来たような、不思議な錯覚を覚えたのだった。
午後からは男鹿半島までドライブ。なまはげ館でなまはげについてのお勉強。ちなみになまはげは「大晦日にやってくる来訪神」で「鬼」ではないそうだ。知らなかった!!

2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。

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