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  • 週替わり みんなの日記 スズキナオさん(酒場ライター)~前編~

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大阪在住のフリーライター。ラップユニット「チミドロ」のリーダーでもある。酒と散策が好き。「デイリーポータルZ」「メシ通」などのWEBサイトでコツコツ執筆しています。

3月17日

大阪に住んではいるが、我が家ではたこ焼きよりもんじゃ焼きを作って食べることの方が多い。実家のある東京では、よく土日にホットプレートでもんじゃ焼きをして食べた。それを私が受け継ぎ、「次は明太チーズ餅もんじゃだー!」などと言ってべちゃべちゃしたものをコテでかき回している。いつもなら野菜を嫌がる子どもたちも、もんじゃ焼きにするとキャベツ1玉ぐらいすぐ食べるのでいい。分量が適当なので毎回仕上がりに差があるが、今日は割と美味しい。端っこにできた「おこげ」をガスガス削り合って食べる、無言のひとときが好きだ。

3月18日

幼稚園に通う子どもの卒園式にスーツを着て行く。園児たちがみんなで歌う「さよならぼくたちのようちえん」という曲に涙が出る。この場所で転んだね、あそこでケンカしたね、というような歌詞。最初は何も思い入れのなかった場所に、そこで過ごした時間とともに少しずつ記憶が積み重なっていく。でも今日を最後にその場所から離れて、そこは新しい誰かの新しい記憶が置かれる場所になる。自分が会社勤めをしていた時のことを思い出す。長く在籍した人が退社した翌日、その人の机はまだ当たり前のようにあって、本人だけがいない不思議な感じ。

3月19日

週刊誌の取材仕事で朝から大阪市内のうどん屋さんをめぐる。昨夜、自分の部屋で一人で飲んでいた酒がちょっと度を越してしまったのか、起きた瞬間から胃がむかむかしている。そんな状況で朝からボリューム満点のうどん。しかも心優しい大将の気遣いでカメラマンの分と私の分、2杯作っていただく。ありがたピンチだ。グルメ系の取材をすることが多いくせに自分は食が細くて悩んでいる。「どうしたらたくさん食べられるようになるか?」と友達に相談したところ、「もう限界! と思ったところからもう一杯多くご飯を食べる。それを繰り返すといい」と言う。相撲部屋の理論だ。

2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。

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