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[あるミュージシャンの小宇宙]

第三話 店と部屋から広がる大宇宙

リシュウさんの手元に届いた
遠方からの絵葉書、その送り主は…。

どんなことがあっても
変わらず店に立ち続けるというリシュウさん。
自分の店から、部屋から
多くのものを受け取っている、その暮らしぶりに
個人と住まいの確かな関係が垣間見えるようです。

[リシュウさんへのインタビュー 3]

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―家にあまり多くを求めないタイプですか。

「今は1人だから。2人とか3人になってきたら考えようと思ってます。今の家は、壁の処理とかもいい加減というか、ちゃんとしてないので、夏は暑いし冬は寒い。個人的にはそういうのはあまり気にしてないんで、気に入ってるんですけどね」

ー第二話にも映ってましたけど、自炊もされますよね。

「映ってたのはいい加減なものですけど(笑)、料理もまあ、しますよ。でも、ちゃんとやろうと思ったら店でやってます」

ー店と家が近いからそういうことも可能なんですね。

「だし、家にはカセットコンロしか置いてないですから。で、湯沸かしが電気なので、そうすると、火を使わなくてすむなと」

ー言ってみれば、オール電化。

「オール電、くらいかな(笑)」

ー見た目には昭和な暮らしぶりですけど、実はこれからの暮らし方なのかもしれません。

「お店があるからこその部屋の使い方をしてるとは思います。実際、休みの日は遠くに泊まりに行くとかもできるし、家にそんなに機能を集中させなくてもいいんですよね。となると、それほど高い家賃の家に住む必要もないから」

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出演:岡澤理秀
音楽:クスミヒデオ、松野泉
撮影:高橋明大
音声・編集:高橋明大&西尾孔志
監督:西尾孔志&高橋明大(チーム孔明)
協力:味園ユニバースビル、上田伝夫

[撮影後記]
去年の末、古い友人リシュウさんを取材しようと決めた頃、ちょうど映画『味園ユニバース』の公開日が決まりまして、「あ、便乗企画やと思われたらちょっと恥ずかしいな〜」とはチラッと思ったんですが、「赤犬」というバンドでは本気か冗談かわからない顔でベースを弾き、バー「マンティコア」では聞き上手のマスターとしていつもニコニコ顔、でもこの人のマジな顔、独りの時の静かな顔、見たいわ〜と思ってしまったからにはオファーするしか余地はありません。結果、美学を持って生きる男のリリシズムから入浴シーンやバスローブ姿(ほんまに普段もこの格好だそうです)まで拝めて、個人的には大満足の取材でした。家に帰って嫁から「あんたリシュウさん、好きすぎやろ」と突っ込まれて赤面した事は、ここだけの秘密です。
(西尾)

[プロフィール]

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西尾孔志
1974年生まれ。10代から京都の撮影所で働き、深作欣二監督ら巨匠の現場を体験する。大阪市の新人映画祭『CO2』の第1回グランプリ。2009年からは同映画祭の企画ディレクターを4年間務め、国内屈指の新人映画祭への拡大成長に尽力する。現在、映画監督、大学・専門学校講師として活躍。監督作は、『ソウルフラワートレイン』(2013)、『キッチンドライブ』(2014)。今夏には新作『函館珈琲』を撮影予定。
*プロフィール写真/佐伯慎亮

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高橋明大
1977年生まれ。2009年、長篇映画『ある光』で映画祭『CO2』の第5回グランプリ。その後、冨永昌敬監督『乱暴と待機』『目を閉じてギラギラ』のメイキング・ディレクター、NHKの若手俳優密着ドキュメンタリー『Dramatic Actors File』ディレクターなどを務めるなど、多方面で活躍。Vシネマ『増蝕細胞ヒミコ』の脚本・監督も手がけた。現在、フリーで映像制作・シナリオ執筆にあたっている。

カリグラシTV

賃貸住宅で営まれる、さまざまな暮らしの現場を取材しました。テラスハウスやアパート、長屋、団地、シェア住宅など、多様な住まいで繰り広げられる百人百様の生活。写真家や映画監督らが住まいを訪ねて、ささやかな動画にまとめます。

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