サガミユウジロウ 1982/08/15生まれ

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壬生坊城第二団地を行き交う人たちに声をかけ、その人たちのお気に入りの場所を教えてもらうことから今回の撮影が始まった。
そのお気に入りの場所での過ごし方を増田美佳さんをモデルに演出してもらい、その人自身に撮影も任せることにした。だから基本的には僕は何もしていない。
キリンは最初から最後まで付かず離れず撮影に付き合ってくれていて、ナスさんは撮影しながら自然と低い姿勢になっていた。オンはフォームのチェックがやたら厳しかった。トムは今回の趣旨を僕の代わりに友達に教えてくれた。カイセイは高い所から撮りたいと言うので肩車をすると一枚だけシャッターを切って「もういいです」となぜか急に敬語になった。ヨネヤマ親子はとても無口で、テツマルは少し変わった髪型をしていた。
第一回のカツマタさんが「不思議な体験だった」と言っていて、僕自身もその撮影の風景を不思議な気持ちで見ていた。
自分の姿を演じるモデルをカメラ越しに外側から改めて見つめてみること。
彼らを演じる増田さんは彼らの鏡のようなものだけど、でも本人そのものじゃないはずで、その本人はいったいどこにいるんだろうと考えた。この鏡の演技を誰が見ているんだろうと思った。
シャッターが降りる瞬間、撮影者からも被写体は遮断される。つまりここに掲載された写真は撮影者自身も見ていない時間が写されている。
撮影が終わって、カメラのレンズを外して中を覗いてみるとカメラの中には小さい鏡が入っていた。
鏡の演技を小さな鏡だけが見ていた。

相模友士郎


撮影:
第1回 カツマタナホ
第2回 ヤマザキテツマル
第3回 ナスカズオ
第4回 カワカミオン
第5回 ツハコトム
第6回 ハットリカイセイ
第7回 ヨネヤマニジコ
第8回 ヨネヤマユウセイ
第9回 カツマタキリン
第10回 サガミユウジロウ

モデル:増田美佳
テキスト:嵯峨実果子
構成・演出:相模友士郎
テキスト撮影協力:矢島沙弥加、伴朱音


PROFILE
1982年福井生まれ。演出家。京都在住。2004年から舞台制作を始め、2009年に伊丹に住む70歳以上の市民との共同制作舞台『ドラマソロジー/DRAMATHOLOGY』を発表し、翌年フェスティバル/トーキョー10に正式招聘される。様々なコミュニティの中に入り込み、そこにいる人々と共同しながら、見るという身体的経験を問い直すような舞台作品を発表している。
http://sagami-endo.com/

撮影地
壬生坊城第2団地 https://www.ur-net.go.jp/chintai/kansai/kyoto/80_2290.html


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