団地のひとインタビュー 002

たけだバーベキュー(BBQ芸人)

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#1 バーベキューとは、おもてなしなり

借り暮らしや貸し借りの魅力を求めて、インタビューを続けているボロワーズ。今回は、唯一無二のバーベキュー芸人、たけだバーベキューさんです。

たけださんは、吉本興業のお笑い養成所であるNSC出身、吉本興業所属。まさに芸人道の本流を進んでいましたが、数年前にたけだバーベキューと芸名を改名して、史上初のバーベキュー芸人へ。その後、著書『豪快バーベキューレシピ』がバーベキュー業界では異例の大ヒットとなるなど、誰も踏み入れたことのない芸人/文化人像を生み出しつつあります。

ところで、バーベキューの一体どこが“借り暮らし”なのか。それは…インタビューを通して明らかに!? 誰もが知ってるバーベキューの世界にも、たくさんの発見が隠れていました。


たけだバーベキュー
1986年生まれ。兵庫県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。バーベキュー以外にも、キャンプインストラクター、狩猟免許、お肉検定1級などの資格を持つ。
http://takeda-bbq.com/

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まず、たけださんのバーベキュー歴を教えてください。

たけだBBQ:10年以上前に車の免許を取って、じゃあ何する? ってなった時に、海に行ってバーベキューをするとか、ごく普通の流れではじめたんですけど、ある時、BBQ検定があるというので、受けてみたら、いろんなバーベキューのやり方を知ることができて。そこからですね、しっかりやりはじめたのは。

もともと、バーベキュー芸人という道を考えていたのでしょうか。

いえ、全然思ってなかったんですけど、僕とのコンビを解散した、もと相方のツネが「2700」というコンビで大ブレイクしたんです。これはヤバイなとあせりを覚えた時に、自分の持ってる武器がバーベキューだったんですね。それで、たけだバーベキューに名前も変えて、おれはこっちでがんばろうと。

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たけだBBQプライベート写真より

バーベキューという芸名も思い切りましたね。

僕自身はそこまで思い切った決断だったつもりはなかったんです。だけど、「オマエの改名で勇気もらったわ」みたいに周りからは言われました。先輩芸人のグイグイ大脇さんからは「初心を思い出したわ!」って電話までもらいました(笑)。

たけだバーベキューという名前、確かにいちど聞いたら忘れません。

バーベキューのうまい奴がおるっていうのは、芸名を変えるよりも前から吉本の中で噂が広まっていて、NGKに行っても「あれ、キミか、バーベキューのうまい奴は」って声をかけられたりしていました。そこから、バーベキューについてのブログを書きはじめて、それが出版もされてという感じで、どんどん広がっていった感じがします。

バーベキューって誰でもできるものだから、どこで上手といえるのか、そのあたりの感覚からわかっていません。

たとえば、炭の並べ方ひとつとっても、ただ一面に並べるのではなくて、右側は積み重ねて、左側は炭を置かないようにするだけで、強火と弱火のゾーンが作れますよだとか、ちょっとした技もたくさんあるんです。強火と弱火に分けることで、ぶ厚いお肉は強火で表面を焼いてから、弱火でアルミホイルなどでフタをして焼けば、しっかり中まで火が通せるので。

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なるほど。そういった知識や情報ってどうやって仕入れるんでしょう。

バーベキュー好きな人って、結構教えたがりで、みんなでやろうという人が多いので、見つけた技やアイデアはよく互いに教えあっています。エリンギをアワビのような味にして食べる方法を見つけたからって、わざわざ人を集めて披露したり(笑)。

ひとりで抱えこむなんて、バーベキューらしくないと。

そうなんです。バーベキューが上手な方々ってキャンプ場経営者、海外の食肉を扱っている社長、国際線のパイロット…個性的な方ばかりなんですけど、みなさん好奇心旺盛だし、おもてなし精神が半端ないんです。誕生日会とかもめちゃ好きですし。

まず間違いなく、人好きな方が多いでしょうね。

それは大いにあります。誕生日に自分がホストになって、みんなを集めてバーベキューパーティをやったりだとか。僕は、昨年末に東京へ越したんですけど、それもバーベキューを通して知り合った方から1室空いてるからというので、部屋をお借りしたことから始まっていますので。

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取材は大阪・箕面粟生団地にて。団地の敷地内にBBQ場があります。

さすが、バーベキュー上手なひとは懐が深い。

僕が思うには、バーベキューはおもてなし精神の塊なんです。自分がホストとなって、みんなをもてなすというのがアメリカ式のバーベキューですけど、ひとつの肉をしっかり調理して、みんなで取り分けて共有して。そういう場になるのがすごくいいなと思ってます。

大きな食卓を囲むのと似た感覚なのかもしれませんね。

しかも、野外だからこその開放感もあるでしょ。たむらけんじさんとか、先輩のバーベキューにもよく呼ばれるんですけど、バーベキューの場ではあまり先輩後輩もなくて、逆に僕が「何やってるんですか!」って叱っても、「あ、すいません」ってノリになったりするから、すごくやりやすい。

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14年10月に行われた、箕面粟生団地での「UR-DIYキャラバンツアー」の様子。

楽屋だとそうはいかない(笑)。だけど、バーベキューならではのフラットな人間関係、開放感が日常だったら暮らしやすいでしょうね。

そうかもしれません。バーベキューは敷居を下げてくれるところがありますから。街のレストランや家では当たり前にやっていることでも、バーベキューで披露すると喜ばれるんです。たとえば、焼き野菜をタレにつけて食べるだけだと一辺倒なので、バーニャカウダのソースを作ってみたりだとか。ちょっとしたことでも、バーベキューだと驚きに変わるんです。

そうしたいろんな技やアイデアのうち、これさえあれば間違いないというものをぜひ何か教えてくださいよ。

それは、塊肉(かたまりにく)ですね。

おおっ、塊肉!

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たけだBBQプライベート写真より

文:竹内厚 写真:平野愛

塊肉の効用やいかに!? 次回、バーベキューのさらなる技と精神に迫ります。狩猟の話もあり!
#2 たとえば巨大な塊肉がひとつあれば


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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