部屋にうたえば

一枚の部屋の写真から
二人の歌人が短歌を綴ります。
15回は楠 誓英さんを迎えて。


今回のお題である団地のエントランスの写真を見たときに、夏の夜だという気がして、楠誓英さんしかいないと思いました。奥に見える入り口の黒がそう思わせたのかもしれません。楠さんをひとことで言えば、闇を覗くような短歌。生活や暮らしといったテーマからは遠いイメージで、だからこそお願いしたいと思っていました。
闇を覗くと何が見えるのか。楠さんの第二歌集『禽眼圖』は、「眼」や「見る」がキーワードとなった短歌が多くあり、そしてなにか別の世界を見つめるような禽の眼が描かれた表紙が特徴的な歌集です。見えているものを詠みながら、もっと深くを見るために詠み続ける。自分の眼だけでなく、鳥たちの眼を通して見ることも。こんなにたくさんの眼と向き合うのは、覚悟のいることだと思います。闇ではなく、はてしなく深いところを覗いているのかもしれません。楠さんの連作は気配が感じられて、私の連作は音がしていて。写真の受け取り方の違いがくっきり出て、そこも楽しんでもらえると嬉しいです。


楠 誓英(くすのきせいえい)

1983年神戸市生まれ。歌集に『青昏抄』(現代短歌社、2014年)、『禽眼圖』(書肆侃侃房、2020年)がある。共著『塚本邦雄論集』(短歌研究社、2020年)。短歌同人誌「西瓜」、2021年夏、始動。ホラー映画が好き。


谷じゃこ(たにじゃこ)

1983年大阪生まれ、大阪在住。短歌のzineを作るなどフリーで活動。『クリーン・ナップ・クラブ』『ヒット・エンド・パレード』『めためたドロップス』、フリーペーパー「バッテラ」(奇数月発行)など。鯖と野球が好き。
Twitter:@sabajaco
Web:http://sabajaco.com/

※今回のお題写真は、過去に松ノ木町団地を撮影した写真記事から。撮影は町田益宏。
https://karigurashi.net/ours/machida-06/

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