部屋にうたえば

一枚の部屋の写真から
二人の歌人が短歌を綴ります。
19回は魚村晋太郎さんを迎えて。


歌集を読むときは、お店のブックカバーを外して読みます。表紙、見返し紙の色、中表紙、一枚ずつゆったりめくって味わって、目次でいったん手を止めて。小説などの本に比べると歌集の目次に並ぶタイトルの数は多く、ずらりと並んだ連作のタイトルを眺めていると、作者である歌人の佇まいを感じられるような気がしてくるのです。
魚村晋太郎さんの歌集をはじめて開いたとき、凛とした並びの目次にドキッとさせられました。以前からTwitterなどでいろんな方が魚村さんの短歌を紹介していて、氷の中で小さな火が燃えているみたいな短歌を作る方で、とにかくかっこいいイメージを持っていました。そのかっこよさのイメージに、目次だけでぴんと芯が通る感じがしたのです。歌集を読み進めるうちに氷と火だったものはがりがり削られていって、茎は細いけど決して折れない凍っている花、となりました。魚村さんの短歌の繊細で美しい強さが、かっこよさのイメージと向き合うための鍵をちょっとだけ貸してくれていたのかもしれません。
歌集『バックヤード』のあとがきで、「私は連作のタイトルを原則として連作内に使用されてゐる二文字以内の語と決めてゐる」と語っています。魚村さんの目次の美しさは、創作の中で生まれた佇まいやったんやなぁと納得。歌集を読むときは、ぜひ目次も味わってみてくださいね。


魚村晋太郎(うおむらしんたろう)

川崎市生まれ。京都市在住。第一歌集『銀耳』で現代歌人集会賞受賞。2021年、第三歌集『バックヤード』(書肆侃侃房)を刊行。「玲瓏」編集委員。現在、短歌総合誌「現代短歌」に「第一歌集ノオト」を連載中。だいたいどこにでもゆきますのでよければ声をかけてください。
Twitter:@uoshin1


谷じゃこ(たにじゃこ)

1983年大阪生まれ、大阪在住。短歌のzineを作るなどフリーで活動。『クリーン・ナップ・クラブ』『ヒット・エンド・パレード』『めためたドロップス』、フリーペーパー「バッテラ」(奇数月発行)など。鯖と野球が好き。
Twitter:@sabajaco
Web:http://sabajaco.com/

※今回のお題写真は、過去に南港ひかりの団地を撮影した写真記事から。撮影はヨシダダイスケ。
https://karigurashi.net/ours/yoshida-05/

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