部屋にうたえば

一枚の部屋の写真から
二人の歌人が短歌を綴ります。
21回は門脇篤史さんを迎えて。


台所の写真なら門脇篤史さんしかいないと、すぐに決まりました。料理がお得意で(おでんをご馳走になったことがあります。めっちゃおいしかった)、歌集『微風域』(現代短歌社)にも台所風景を詠んだ短歌が多く見られます。おいしい料理を詠むというよりは、たとえばハムからハムをめくり取ったり、空き瓶に自家製ジャムを詰めたり。歌集には洗い物の短歌までしっかりあって、特別ではない台所仕事のひとときを拾い上げて短歌にする着実さが魅力です。
歌人だからといって、ドラマチックな出来事が毎日特別に起こるなんてことはありません。あれば温泉が湧くみたいにどばどば短歌が生まれるのかな、それはそれで味わってみたいですが。門脇さんは、日常の中のちょっとした引っかかりを見つけることのできる人なんやと思います。些細なことを些細なままで短歌にする。代わり映えがないように思える毎日の生活も、温度も質感もこんなに違うんやなぁと教えてくれます。
ただ、門脇さんの短歌には、根底にさみしさのようなものが流れている気がします。水がよく出てくるからかな。真水で食器を洗ったあとの、冷たさで手に痺れが残る感じ。この気持ちが本当にさみしさなのかは、私の中でもまだ悩み中ですが……。


門脇篤史(かどわきあつし)

1986年島根県生まれ。京都府在住。未来短歌会所属。「too late」「西瓜」同人。第一歌集『微風域』で日本歌人クラブ新人賞と日本一行詩大賞新人賞を受賞。ご飯を作ったり、キャンプ場で焚き火をしたりしながら暮らしています。


谷じゃこ(たにじゃこ)

1983年大阪生まれ、大阪在住。短歌のzineを作るなどフリーで活動。『クリーン・ナップ・クラブ』『ヒット・エンド・パレード』『めためたドロップス』、フリーペーパー「バッテラ」(奇数月発行)など。鯖と野球が好き。
Twitter:@sabajaco
Web:http://sabajaco.com/

※今回のお題写真は、過去に箕面粟生第3団地を撮影した写真記事から。撮影は西島渚。
https://karigurashi.net/ours/nishijima-03/

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