




ひつじのあゆみさんを歌人としてだけで紹介していいのか悩んでしまいます。素晴らしい短歌を作っているので歌人であることは間違いないけど、写真も撮るし、Tシャツのデザインもするし、大喜利もするし、Twitterでは大人気やし。なんかわからんけどすごい人、というのが一番しっくりくる。どんな肩書きも飛び越えてしまう多才な方です。
「なんかわからんけどすごい」から来る何者かわからなさは短歌にもあって、ひつじのあゆみさんの短歌は主人公像がはっきり読み取れないところがむしろ魅力になっています。どんな主人公をイメージしても当てはまる気がするのです。しかも「わっ、なんかわかる……」と刺さる内容でありながらかわいくて優しい短歌もあって、読者である自分が短歌の主人公の部分にすっぽりはまった時に、何者でもない自分のピースをひとつ見つけたような嬉しい気持ちになるのです。
それから、「粘菌歌会」というインターネット上の歌会をかみしのさん、猫のパジャマさんと共に開催しています。テーマに合った短歌を募集し、集まった短歌から3人がおもしろさや気になったことをおしゃべりする歌会です。投稿された短歌も個性的なものが多く、聴いたり読んだりするだけでも楽しいのですが、ビビッと来たら投稿してみるともっと楽しいですよ。
ひつじのあゆみ
京都府生まれ、府内在住。2014年頃に短歌と出会う。インターネット上の月例座談会「粘菌歌会」のメンバー。羊野歩の名前で写真家としても活動中。バラエティ番組と日本語ラップを好む。
Twitter:@ewe_your_you
谷じゃこ(たにじゃこ)
1983年大阪生まれ、大阪在住。短歌のzineを作るなどフリーで活動。『クリーン・ナップ・クラブ』『ヒット・エンド・パレード』『めためたドロップス』、フリーペーパー「バッテラ」(奇数月発行)など。鯖と野球が好き。
Twitter:@sabajaco
Web:http://sabajaco.com/
※今回のお題写真は、過去に千里青山台団地を撮影した写真記事から。撮影は沖本明。
→https://karigurashi.net/ours/lifestyle-16-05/