




志賀野さんの短歌は、ひとことで言えば「わからない」。短歌を読んでいて「わからない」と思うときって、難しすぎて理解できなかったり、作者が言いたいことが伝わってこないとき、そこに特別なおもしろさを感じないときが多いかと思います。しかし、「わからない」からこそおもしろいというのも間違いなく存在します。志賀野さんの「わからない」は不思議です。
言葉はイメージに変換されることなく、言葉のまま塊となったものが予測不能な軌道で飛んでくるようです。飛びながら通り過ぎるくらいの距離感です。時々キャッチできるのもありますが、キャッチしたところで「わかる」わけではないのが志賀野さんの言葉のおそろしいところ。「これは金平糖やな!」と思っても、手の中にあるそれは自分の知っている金平糖ではない、「わからない」としか言いようのないものやったりするのです。
志賀野さんは歌人であり詩人です。短歌も詩も、志賀野さんと多賀盛剛さん(「部屋にうたえば」第3回ゲスト)で作っているペーパー「しかた」で読むことができます。諦めずにキャッチし続けたらいつかわかるかな。いや、わからないままのほうが楽しいかも。
志賀野左右介(しかのそうすけ)
1998年新潟県生まれ。兵庫県在住。「しかた」等で短歌を発表しています。
Twitter:@shicano1885
谷じゃこ(たにじゃこ)
1983年大阪生まれ、大阪在住。短歌のzineを作るなどフリーで活動。『クリーン・ナップ・クラブ』『ヒット・エンド・パレード』『めためたドロップス』、フリーペーパー「バッテラ」(奇数月発行)など。鯖と野球が好き。
Twitter:@sabajaco
Web:http://sabajaco.com/
※今回のお題写真は「URアンバサダーマガジン」よりアルビス旭ヶ丘。撮影:YK 「URアンバサダーマガジン」は、UR団地に暮らすURアンバサダーがそれぞれの目線で住み心地や地域の魅力などを発信。Facebookで連載中。